2026年、中古住宅が「逆転」した
住宅ローン控除といえば、新築が圧倒的に有利——そんな常識が2026年度の税制改正でひっくり返った。
中古住宅の控除期間が10年から13年に延長され、借入限度額も引き上げ。一方で新築の省エネ基準適合住宅は限度額が据え置きどころか、一般世帯では2,000万円に留まったままだ。これから家を買おうとしている人にとって、「新築と中古、どっちが得か」の答えが年収や住宅の省エネ性能で大きく変わる状況になっている。
この記事では2026年改正の要点を整理したうえで、年収400万・600万・800万円の3パターンでシミュレーションを行う。自分の状況に当てはめて、控除額の目安をつかんでほしい。
そもそも今回の改正がなぜ行われたのか。背景にあるのは、中古住宅市場の活性化という政策目標だ。日本の住宅市場は長らく「新築偏重」で、中古住宅の流通シェアは欧米と比べて圧倒的に低い。国土交通省は既存住宅の流通促進を掲げており、税制面でのインセンティブ強化はその一環である。加えて、2050年カーボンニュートラルに向けて省エネ住宅への移行を加速させたいという意図も見て取れる。省エネ性能が低い住宅ほど控除で不利になる設計は、まさにその誘導策だ。
住宅ローン控除の正式名称は「住宅借入金等特別控除」。年末時点の住宅ローン残高の0.7%が所得税から控除される仕組みで、2022年の改正で控除率が1.0%から0.7%に引き下げられた。「昔は1%だったのに」と嘆く声もあるが、低金利時代に控除率が金利を上回る「逆ざや」が問題視されたための措置だ。0.7%でも13年間適用されれば総額は大きい。
改正の全体像をざっくり押さえる
2026年度税制改正(令和8年度税制改正大綱)で住宅ローン控除に関わる主な変更点は3つある。
適用期限の5年延長。2030年12月31日入居分まで適用される。これまで「いつ終わるか分からない」と駆け込み需要を煽られてきたが、しばらくは安心だ。
中古住宅の大幅拡充。省エネ性能の高い中古住宅は控除期間が13年に延び、借入限度額も引き上げ。新築との格差が一気に縮まった。
2028年以降の省エネ基準引き上げ。2028年4月以降に建築確認を受ける新築は、ZEH水準以上でなければ控除対象外になる。省エネ基準適合だけでは足りなくなるということだ。
新築住宅の借入限度額一覧(2026〜2027年入居)
新築の借入限度額は住宅の省エネ性能と世帯区分で決まる。控除率は年末残高の0.7%、控除期間は13年で共通だ。
| 住宅の種類 | 一般世帯 | 子育て・若者夫婦世帯 |
|---|---|---|
| 認定住宅(長期優良・低炭素) | 4,500万円 | 5,000万円 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 4,500万円 |
| 省エネ基準適合住宅 | 2,000万円 | 3,000万円 |
| その他の住宅 | 対象外 | 対象外 |
注目すべきは一番下の行だ。省エネ基準を満たさない新築住宅は、2024年以降すでに控除対象から外れている。これから新築するなら最低でも省エネ基準適合は必須条件になる。
ちなみに「子育て・若者夫婦世帯」の定義は、19歳未満の扶養親族がいる世帯、または夫婦いずれかが40歳未満の世帯だ。該当するかどうかで限度額が最大1,000万円変わるので、見落とさないようにしたい。
もう一つ見逃せないのが「その他の住宅」が完全に対象外になっている点だ。2023年までは省エネ基準を満たさない一般的な新築でも借入限度額3,000万円で控除を受けられた。それが2024年以降はゼロ。これは住宅メーカーにとっても大きな転換で、現在販売されている新築住宅はほぼすべて最低でも省エネ基準適合を標準仕様にしている。逆に言えば、建売住宅や注文住宅を購入する際は、省エネ性能のランクを必ず確認する習慣をつけるべきだ。認定住宅とZEH水準では借入限度額が1,000万円〜2,500万円も違う。性能の差がそのまま控除額の差になる。
中古住宅の借入限度額一覧(2026年以降入居)
今回の改正で最もインパクトが大きいのがここだ。
| 住宅の種類 | 一般世帯 | 子育て・若者夫婦世帯 | 控除期間 |
|---|---|---|---|
| 認定住宅・ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 4,500万円 | 13年 |
| 省エネ基準適合住宅 | 2,000万円 | — | 13年 |
| その他の住宅 | 2,000万円 | — | 10年 |
従来、中古住宅の控除期間は一律10年だった。それが省エネ性能の高い住宅に限り13年に延びた。3年分の控除額の差は、借入額にもよるが数十万円に達する。
さらに床面積要件も緩和され、中古住宅でも40平米以上で適用可能になった。コンパクトなマンションでも控除が受けられるケースが増えるだろう。
2025年までは中古住宅の借入限度額は認定住宅・ZEH水準でも3,000万円、控除期間は10年だった。2026年改正でそれぞれ3,500万円・13年に拡充されたわけだから、最大控除額の差は歴然だ。具体的に計算すると、3,000万円×0.7%×10年=210万円だったものが、3,500万円×0.7%×13年=318.5万円になる。100万円以上の差がつく。
子育て世帯なら限度額4,500万円で計算すると、4,500万円×0.7%×13年=409.5万円。新築の認定住宅(一般世帯)の4,500万円×0.7%×13年=409.5万円と完全に同額だ。これが「中古が逆転した」と言われるゆえんである。
控除額の計算ロジックを先に理解する
シミュレーションに入る前に、控除額の計算の仕組みを押さえておきたい。ここを理解しないと「限度額5,000万円だから350万円戻る」という早とちりをしがちだ。
住宅ローン控除の計算は2段階ある。
ステップ1:計算上の控除額。12月31日時点の住宅ローン残高 × 0.7%。ただし借入限度額を超える部分は計算に含まない。たとえば残高4,000万円で限度額3,500万円なら、3,500万円 × 0.7% = 24.5万円が計算上の控除額だ。
ステップ2:実際に控除される額。計算上の控除額がそのまま戻るわけではない。まず所得税から差し引き、控除しきれない分は住民税から最大97,500円(前年の課税所得の5%が上限)まで差し引かれる。つまり、その年に納めた所得税+97,500円が控除の上限になる。
具体例を出そう。年収500万円の会社員(扶養なし)の場合、所得税は年間約14万円、住民税は約25万円程度だ。計算上の控除額が25万円だったとしても、実際に控除されるのは所得税14万円+住民税上限9.75万円=23.75万円が最大。1.25万円分は使い切れずに消える。この「使い切れない控除枠」は翌年に繰り越せない。その年限りだ。
年収が低い人ほど所得税が少なく、控除枠を使い切れないリスクがある。逆に年収が高ければ限度額いっぱいの恩恵を受けられる。この「年収による天井」がシミュレーションで重要になるポイントだ。
年収別シミュレーション:新築vs中古でいくら違うか
以下、金利1.0%・元利均等返済・35年ローンを前提に、13年間の控除総額の目安を試算した。繰り上げ返済なし、扶養控除等の条件は一般的なケースを想定している。実際の金額は個々の控除状況で異なるため、あくまで比較の参考値として見てほしい。
年収400万円の場合
所得税は年間約8〜9万円程度。住民税からの控除上限97,500円を加えても、年間の控除可能額は約18万円が天井だ。
| パターン | 借入額 | 年間控除額の目安 | 13年間の控除総額 |
|---|---|---|---|
| 新築・省エネ基準適合(一般) | 2,000万円 | 約13万円 | 約160万円 |
| 中古・認定住宅(一般) | 3,000万円 | 約18万円(上限到達) | 約220万円 |
| 新築・ZEH水準(子育て世帯) | 3,500万円 | 約18万円(上限到達) | 約220万円 |
年収400万円だと、借入限度額を上げても所得税・住民税の枠で頭打ちになる。借入3,000万円あたりで控除メリットは飽和する。新築で高い省エネ性能の家を建てても、控除面のメリットは中古とほぼ変わらない。
ここで見落としがちなのは、配偶者控除や扶養控除を使っている場合、課税所得がさらに下がって控除枠が小さくなる点だ。年収400万円で子どもが2人いれば、所得税は年間5〜6万円程度まで下がることもある。控除枠をフルに活かすなら、夫婦でペアローンを組んで控除を分散させる方法も検討に値する。
年収600万円の場合
所得税は年間約20万円前後。住民税上限と合わせて年間約30万円まで控除可能だ。
| パターン | 借入額 | 年間控除額の目安 | 13年間の控除総額 |
|---|---|---|---|
| 新築・認定住宅(一般) | 4,500万円 | 約30万円(上限近く) | 約370万円 |
| 新築・ZEH水準(子育て世帯) | 4,500万円 | 約30万円(上限近く) | 約370万円 |
| 中古・認定住宅(子育て世帯) | 4,500万円 | 約30万円(上限近く) | 約370万円 |
| 中古・認定住宅(一般) | 3,500万円 | 約24万円 | 約290万円 |
年収600万円になると控除枠にゆとりが出てくる。新築の認定住宅と中古の認定住宅(子育て世帯)が同じ4,500万円の限度額で並ぶのが2026年改正の特徴だ。中古でも条件次第で新築と同等の控除が得られる。
ただし一般世帯(子育て・若者夫婦世帯に該当しない場合)の中古は限度額3,500万円止まり。この場合、13年間の控除総額は新築の認定住宅に比べて約80万円少なくなる。年収600万円帯は新築と中古の分岐点になりやすい。物件価格の差額と控除差額を天秤にかけて判断するのが賢明だ。
年収800万円の場合
所得税は年間約46万円前後。控除枠は十分にある。
| パターン | 借入額 | 年間控除額の目安 | 13年間の控除総額 |
|---|---|---|---|
| 新築・認定住宅(子育て世帯) | 5,000万円 | 約34万円 | 約410万円 |
| 新築・認定住宅(一般) | 4,500万円 | 約31万円 | 約370万円 |
| 中古・認定住宅(子育て世帯) | 4,500万円 | 約31万円 | 約370万円 |
| 中古・認定住宅(一般) | 3,500万円 | 約24万円 | 約290万円 |
年収800万円・子育て世帯であれば、新築の認定住宅で最大約410万円の控除が見込める。ただし中古の認定住宅でも子育て世帯なら約370万円。差額は約40万円だ。物件価格自体が新築より数百万〜数千万円安い中古を選べば、トータルでは中古のほうが有利になるケースが多い。
年収800万円帯で考えるべきもう一つの論点は、住宅ローン控除と「ふるさと納税」「iDeCo」の併用だ。住宅ローン控除は所得税から先に差し引かれるため、ふるさと納税のワンストップ特例を利用している場合、住民税からの控除枠が競合する可能性がある。年収800万円であれば通常は枠が余るため問題にならないが、他の所得控除が多い場合は注意が必要だ。確定申告で住宅ローン控除を申請する初年度は、ふるさと納税もまとめて確定申告で処理するのが確実である。
「中古が得」と言い切れない落とし穴
シミュレーション上は中古が有利に見えるが、注意点もある。
省エネ性能の証明が必要。中古で13年控除を受けるには、省エネ基準適合以上であることを証明する書類(省エネ基準適合証明書等)が必要になる。築年数の古い物件では取得できないことも多い。リフォームで基準を満たす場合は工事費も考慮が必要だ。
築年数の制限。耐火建築物は築25年以内、それ以外は築20年以内が原則。ただし、新耐震基準に適合していれば築年数の制限は撤廃される。1981年6月以降の建築確認であれば基本的に問題ない。
住宅ローン金利の影響。控除率0.7%に対して、変動金利で0.3〜0.5%台のローンを組んでいる場合、いわゆる「逆ざや」(控除率 > 金利)の恩恵は縮小傾向にある。金利上昇局面の2026年では、借入額を増やして控除を最大化する戦略が以前ほど有効ではない可能性もある。
2024年以降、日銀の政策金利引き上げに伴い変動金利も上昇傾向にある。2026年4月時点で変動金利は0.6〜0.9%台が主流だ。控除率0.7%を金利が上回るケースも出てきており、「住宅ローン控除があるから繰り上げ返済しない方が得」という従来のセオリーが通用しなくなりつつある。金利動向を見ながら、控除期間終了後に繰り上げ返済するかどうかを判断したい。
リフォーム費用との兼ね合い。中古住宅を購入してリフォームする場合、リフォーム費用は住宅ローン控除の対象になるケースとならないケースがある。住宅の取得と一体で借り入れたリフォームローンであれば控除対象になるが、入居後に別途組んだリフォームローンは対象外だ。中古住宅を検討する際は、購入時にまとめてリフォーム費用も借り入れる方が控除上は有利になる。
すまい給付金は終了済み。以前は住宅ローン控除と併用できた「すまい給付金」は2021年末で終了している。代わりに「子育てエコホーム支援事業」などの補助金制度があるので、住宅ローン控除と合わせて活用できるか確認しておくといい。補助金は予算上限に達し次第終了するため、申請は早い方がいい。
2028年からさらに厳しくなる
2028年4月以降に建築確認を受ける新築住宅は、ZEH水準以上でなければ住宅ローン控除の対象外になる。現在は省エネ基準適合でも対象だが、2年後にはそのハードルが一段上がる。
加えて、土砂災害特別警戒区域などの「災害レッドゾーン」に建つ新築住宅も、2028年以降は控除対象外だ。立地選びにも税制が影響する時代になった。
これから新築を検討するなら、最低でもZEH水準を目指すのが無難だろう。省エネ基準適合で建てて2028年以降に入居した場合、控除が受けられないという事態もありえる。
中古住宅については、2028年の基準引き上げは直接影響しない。既存住宅はあくまで現行の省エネ区分で判定されるため、2028年以降も省エネ基準適合の中古であれば13年控除の対象だ。この点でも、中古住宅の相対的な優位性は今後さらに高まる可能性がある。
新築と中古の控除総額を一覧で比較する
ここまでの情報を整理して、13年間の最大控除額(理論値)を一覧にまとめた。
| 住宅区分 | 世帯区分 | 借入限度額 | 控除期間 | 最大控除総額 |
|---|---|---|---|---|
| 新築・認定住宅 | 子育て世帯 | 5,000万円 | 13年 | 455万円 |
| 新築・認定住宅 | 一般世帯 | 4,500万円 | 13年 | 409.5万円 |
| 新築・ZEH水準 | 子育て世帯 | 4,500万円 | 13年 | 409.5万円 |
| 新築・ZEH水準 | 一般世帯 | 3,500万円 | 13年 | 318.5万円 |
| 新築・省エネ基準適合 | 子育て世帯 | 3,000万円 | 13年 | 273万円 |
| 新築・省エネ基準適合 | 一般世帯 | 2,000万円 | 13年 | 182万円 |
| 中古・認定/ZEH水準 | 子育て世帯 | 4,500万円 | 13年 | 409.5万円 |
| 中古・認定/ZEH水準 | 一般世帯 | 3,500万円 | 13年 | 318.5万円 |
| 中古・省エネ基準適合 | 一般世帯 | 2,000万円 | 13年 | 182万円 |
| 中古・その他 | 一般世帯 | 2,000万円 | 10年 | 140万円 |
上記は「年末残高が常に借入限度額を超えている」前提の理論上の最大値だ。実際には返済が進むにつれて残高が減り、年収による所得税・住民税の上限もあるため、これより少なくなる。それでも新築と中古の格差が縮小しているのは一目瞭然だろう。
ペアローンと単独ローン、控除にどう影響するか
共働き夫婦の場合、ペアローン(夫婦それぞれが住宅ローンを組む方式)を検討する人も多いだろう。ペアローンは住宅ローン控除の観点からも有利になるケースがある。
たとえば年収400万円の夫と年収300万円の妻がペアローンで合計4,000万円を借りる場合。夫2,500万円・妻1,500万円で組めば、それぞれの年末残高に対して0.7%の控除を受けられる。単独ローンだと所得税・住民税の枠で控除しきれない部分が出るが、ペアローンなら2人分の税額枠を使えるため、控除を無駄にしにくい。
ただしペアローンにはデメリットもある。事務手数料や登記費用が2本分かかる。団体信用生命保険もそれぞれに加入するため、一方が亡くなっても残された方のローンは残る。離婚した場合の処理も複雑になりやすい。控除額の差だけでなく、こうしたリスクも含めて判断する必要がある。
連帯債務型のローンという選択肢もある。この場合はローン契約は1本だが、夫婦の持分割合に応じて控除を按分できる。金融機関によって取り扱いが異なるため、事前に確認が必要だ。
確定申告の手続きで押さえるべきポイント
住宅ローン控除を受けるには、入居した翌年に確定申告が必要だ。会社員でも初年度は自分で申告しなければならない。2年目以降は年末調整で処理できる。
確定申告で必要な主な書類は以下のとおりだ。
- 住宅ローンの年末残高証明書(金融機関から10〜11月頃に届く)
- 登記事項証明書(法務局で取得)
- 売買契約書または工事請負契約書の写し
- 省エネ基準適合証明書・住宅性能評価書等(中古で13年控除を受ける場合は必須)
- 長期優良住宅認定通知書(認定住宅の場合)
特に中古住宅で13年控除を狙う場合、省エネ性能を証明する書類の取得に時間がかかることがある。引き渡し後に「書類が間に合わない」とならないよう、契約段階で売主や仲介業者に証明書の取得可否を確認しておくべきだ。
また、e-Taxを使えばマイナンバーカードとスマートフォンだけで申告できる。税務署に並ぶ必要はない。国税庁の確定申告書等作成コーナーで住宅ローン控除の項目を選べば、必要な計算は自動で行われる。
申告のタイミングも重要だ。住宅ローン控除の確定申告は、入居した翌年の1月1日から提出可能だ。2月16日〜3月15日の確定申告期間を待つ必要はない。還付申告は5年間有効なので、万が一申告を忘れても遡って申請できる。ただし住宅ローンの年末残高証明書は毎年届くものなので、初年度に確定申告を済ませておかないと2年目以降の年末調整にも影響する。入居した翌年の早い段階で手続きを終わらせるのがベストだ。
2年目以降は会社の年末調整で処理できるため、確定申告の手間は初年度のみ。税務署から届く「住宅借入金等特別控除申告書」(残り12年分がまとめて届く)と、金融機関の年末残高証明書を会社に提出すればいい。この申告書を紛失するとe-Taxで再発行手続きが必要になるので、届いたらまとめて保管しておくことを勧める。
よくある疑問と誤解
住宅ローン控除に関して、相談現場やSNSでよく見かける疑問を整理しておく。
繰り上げ返済すると控除額が減るのか? その通りだ。繰り上げ返済で年末残高が減れば、翌年の控除額も下がる。ただし金利が0.7%を超えているなら、繰り上げ返済で節約できる利息のほうが控除減少分より大きいケースもある。損益分岐点は金利0.7%前後だ。
転勤で一時的に住めなくなった場合はどうなるか? 本人が居住しなくなった年は控除が停止する。ただし単身赴任で家族が住み続けている場合は控除を継続できる。海外転勤の場合も2016年4月以降の入居であれば、帰国後に残りの控除期間を再開可能だ。
住宅ローンの借り換えをしたら控除はどうなるか? 借り換え後のローンが「当初の住宅ローンの返済のためのもの」であり、借り換え後の返済期間が10年以上であれば、引き続き控除を受けられる。ただし控除期間は当初の入居時から数えた残り期間のままだ。借り換えでリセットはされない。
中古マンションの築年数はどう確認するか? 登記事項証明書に記載されている「新築年月日」で確認できる。1982年1月以降の新築であれば新耐震基準に適合していると判断されるのが一般的だ。それ以前の建物でも「耐震基準適合証明書」を取得すれば対象になるが、取得には耐震診断が必要で費用は15〜30万円程度かかる。
投資用物件でも控除は受けられるか? 受けられない。住宅ローン控除の対象は「自己の居住の用に供する住宅」に限られる。セカンドハウスや賃貸併用住宅の賃貸部分も対象外だ。賃貸併用の場合、居住部分の床面積が全体の50%以上であれば居住部分のみ控除対象になる。
自分の状況で計算してみるのが一番確実
住宅ローン控除は年収・借入額・住宅の省エネ性能・世帯区分の組み合わせで結果が大きく変わる。この記事のシミュレーションはあくまで目安であり、実際の控除額は個別の所得状況や借入条件で異なる。
まずやるべきことは、検討中の物件が「認定住宅」「ZEH水準」「省エネ基準適合」のどれに該当するか、販売会社やハウスメーカーに確認することだ。中古の場合は省エネ性能の証明書が取得可能かどうかも合わせて聞いておくといい。
そのうえで、国土交通省の住宅ローン減税ページに掲載されている最新の制度概要と照らし合わせてほしい。制度の詳細は毎年微調整が入るため、契約前に必ず最新版を確認するのが鉄則だ。
住宅購入は人生で最も大きな買い物の一つだ。住宅ローン控除だけで判断するものではないが、数百万円の差がつく制度を知らずに損をするのはもったいない。新築か中古か迷っているなら、まず自分の年収で控除枠をどこまで使い切れるかを確認するところから始めてみてほしい。