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夏のボーナス手取り額面別シミュレーション2026

April 23, 2026
2 min read

今年のボーナス、去年より減っている可能性がある

6月が近づくと気になるのが夏のボーナスの手取り額だ。額面は同じでも、天引きされる金額が変われば手取りは当然変わる。毎年「あれ、思ったより少ないな」と感じる人は多いと思うが、2026年は例年以上にそう感じるかもしれない。

理由は明確だ。2026年4月から子ども・子育て支援金の徴収が始まった。健康保険料に上乗せされる形で、給与だけでなく賞与からも容赦なく引かれる。率にして0.23%(労使折半で本人負担は0.115%)。額面50万円のボーナスなら本人負担は575円程度。「たったそれだけ?」と思うかもしれないが、これは初年度の数字であって、2028年度まで段階的に引き上げられる予定だ。将来的にはもっと重くなる。

加えて、介護保険料率も地味に上がっている。40歳以上の人は二重に影響を受けることになる。

この記事では、2026年度の最新保険料率を使って、額面30万・50万・80万・100万円それぞれの手取りを具体的に試算する。扶養人数による税率の違い、iDeCoの節税効果、そして「なぜ今年は手取りが減ったのか」の内訳まで、数字で見ていく。

ボーナスから天引きされるもの一覧

まず、ボーナスから差し引かれるものを整理しておく。

項目2026年度の本人負担率備考
健康保険料4.925%(東京・協会けんぽ)都道府県で異なる
介護保険料0.81%40歳以上のみ
子ども・子育て支援金0.115%2026年4月新設
厚生年金保険料9.15%全国一律
雇用保険料0.5%一般の事業
所得税前月給与と扶養人数で変動後述
住民税引かれない賞与は住民税の対象外

「住民税は?」と思った人もいるだろう。住民税はボーナスから引かれない。住民税は前年の所得をもとに年額が確定し、毎月の給与から12分割で天引きされる仕組みだ。賞与はこの天引きの対象外。だから給与明細で住民税を見慣れていても、ボーナス明細には出てこない。ここを勘違いしている人は結構多い。

さて、社会保険料率の本人負担を合計すると、40歳未満で14.69%、40歳以上65歳未満だと介護保険が加わって15.50%になる。ここにさらに所得税が乗る。つまりボーナスの天引きは最低でも額面の約2割と考えておくのが現実的だ。

なお、健康保険料率は協会けんぽの場合、都道府県ごとに異なる。上の表は東京支部(9.85%)の例だが、佐賀県は10.42%、新潟県は9.43%など、かなりの幅がある。自分の都道府県の料率は協会けんぽの公式サイトで確認できる。組合健保に加入している人は、組合ごとに料率が違うため会社の人事に確認するのが確実だ。

額面別の手取りシミュレーション

前提条件

以下の条件で統一して試算している。自分と条件が違う場合は、差分を頭の中で調整しながら読んでほしい。

  • 健康保険: 協会けんぽ(東京支部・料率9.85%)加入
  • 年齢: 40歳未満(介護保険料なし)
  • 前月給与: ボーナス額面と同額と仮定(ボーナス30万なら月給も30万)
  • 扶養親族: なし(0人)
  • 雇用保険: 一般の事業(本人負担0.5%)

所得税率の決まり方が少しややこしい。まず前月の給与から社会保険料を引いた「社保控除後の金額」を出す。次にその金額と扶養人数を使って、国税庁が公表している「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和8年分)」で税率を引く。扶養0人・社保控除後の金額が25万〜35万円あたりだと、税率は6.126%〜10.210%の範囲に収まることが多い。

項目額面30万円額面50万円額面80万円額面100万円
健康保険料14,775円24,625円39,400円49,250円
子育て支援金345円575円920円1,150円
厚生年金27,450円45,750円73,200円91,500円
雇用保険1,500円2,500円4,000円5,000円
社保合計44,070円73,450円117,520円146,900円
所得税(税率)15,668円(6.126%)34,757円(8.168%)69,634円(10.210%)87,042円(10.210%)
手取り約240,262円約391,793円約612,846円約766,058円
天引き率約19.9%約21.6%約23.4%約23.4%

額面30万円で約6万円、額面100万円だと約23.4万円が消える。額面が上がるほど所得税率も段階的に上がるため、天引きの割合は20%弱から23%台まで膨らむ。

「額面の8割が手取り」とよく言われるが、それはあくまで目安だ。額面30万円なら約80.1%(約24万円)に近いが、額面100万円では約76.6%まで下がる。額面が上がるにつれて所得税の税率が段階的に上がるためで、この累進的な構造を知らずに「100万もらえるなら80万は残るだろう」と期待すると、実際の振込額を見て数万円の想定外を食らうことになる。

住宅購入や大きな買い物をボーナス払いで計画している人は、この天引き率の差を織り込んでおかないとあとで困る。

40歳以上だとさらに重い

40歳以上65歳未満は介護保険料(本人負担0.81%)が上乗せされる。2026年度の介護保険料率は1.62%で、前年度の1.59%から0.03ポイント引き上げられた。

額面50万円のボーナスなら介護保険だけで4,050円の追加負担。手取りは約387,743円となり、40歳未満と比べて年間のボーナス2回分で約8,100円の差がつく。月給からも毎月引かれているので、年間トータルの介護保険料負担は相当な額になっている。

40歳の誕生日を迎えた年から突然引かれ始めるため、「今年から手取りが減った」と実感する人は40歳前後に集中する。対策のしようがないのが辛いところだ。

なお、65歳以上は介護保険の天引き方法が変わり、原則として年金から特別徴収される。65歳を超えてもボーナスが出る会社にいる人は、ボーナスからの介護保険天引きがなくなるため、逆に手取りが増えるケースもある。

扶養人数で所得税がここまで変わる

ボーナスの所得税は給与とは計算方法が違う。給与は月額表を使うが、賞与には専用の「算出率の表」がある。この表で税率を決めるのに必要なのが「前月給与の社保控除後の金額」と「扶養親族の数」の2つだ。

ここが重要なポイントで、前月の給与が多いほど税率は上がり、扶養が多いほど税率は下がる。つまり同じ額面のボーナスでも、独身と扶養3人の既婚者では天引き額がかなり違ってくる。

額面50万円のボーナスで、前月社保控除後の金額が約33万円の場合を比較すると:

扶養人数所得税率所得税額手取り独身との差
0人8.168%34,757円約391,793円
1人6.126%26,050円約400,500円+約8,700円
2人4.084%17,376円約409,174円+約17,400円
3人2.042%8,688円約417,862円+約26,100円

扶養0人と3人で約26,000円の差がある。年2回のボーナスなら年間約52,000円。これは小さくない。

ただし注意が必要で、これはあくまでボーナス支給時点での源泉徴収の話だ。最終的な税額は年末調整で精算されるため、ボーナス時点で多く引かれた分は12月の給与で還付される可能性がある。逆に言えば、扶養が多い人はボーナスの手取りが多い代わりに年末調整での還付が少なくなることもある。年間トータルの税負担は同じ収入・同じ控除なら変わらない。

もう一つ実務的に大事な話がある。2026年(令和8年)から扶養控除等申告書の記載ルールが変わった。これまで16歳未満の子どもは記載対象外だったが、改正後は「源泉控除対象親族」という新しい区分に含まれるようになった。この変更により、16歳未満の子がいる家庭ではボーナスの源泉徴収税率が下がるケースがある。会社から配布される申告書を正確に記入しているか、改めて確認することを勧める。記載漏れがあると、本来適用されるはずの低い税率が適用されず、余計に天引きされることになる。

また、前月の給与が極端に少ない場合(育休復帰直後や病欠明けなど)はボーナスの所得税率がかなり低くなる。逆に、残業が多かった月の翌月にボーナスが支給されると税率が上がる。タイミングの運もあるというわけだ。

iDeCoでボーナスの手取りは増えるか — 仕組みと限界

「iDeCoをやっていればボーナスの手取りが増える」と思っている人がいるが、これは半分正しくて半分間違いだ。

正確に言うと、iDeCoの掛金はボーナスの社会保険料には一切影響しない。iDeCoは「小規模企業共済等掛金控除」という所得控除の一種であり、社会保険料の算定基礎(標準賞与額)とは無関係だからだ。つまり、iDeCoに加入していようがいまいが、社会保険料の天引き額は1円も変わらない。

ではiDeCoは何に効くのか。所得税と住民税だ。iDeCoの掛金は全額が所得控除されるため、年末調整で最終的な所得税額が下がり、翌年の住民税も減る。ただし、ボーナス支給時点ではこの効果は反映されない。年末調整や翌年6月の住民税額で初めて恩恵を実感する。

具体的な節税額を試算してみる。会社員(企業年金なし)の月額上限2.3万円をフルに拠出した場合:

年収所得税率住民税率iDeCo年間掛金年間節税額
400万円5%10%27.6万円約41,400円
600万円10%10%27.6万円約55,200円
800万円20%10%27.6万円約82,800円

年収800万円・所得税率20%の人なら、年間約8.3万円の節税。ボーナス換算で考えれば1回あたり約4万円分の価値がある。ボーナスの手取りに直接は反映されないが、年間トータルでは確実に効いている。

ボーナスの手取りを「目に見える形で今すぐ」増やしたいなら、iDeCoよりまず扶養控除の適用漏れがないか確認する方が即効性は高い。iDeCoは年間を通じてじわじわ効いてくるタイプの節税手段だ。

なお、2024年12月の税制改正大綱でiDeCoの拠出限度額引き上げが議論されたが、会社員の月額上限2.3万円は2026年4月時点では変更されていない。企業型DCとの併用ルールも含め、自分の拠出上限は正確に把握しておくべきだ。

2026年、手取りが「微妙に減った」と感じる理由

冒頭で触れた子ども・子育て支援金(本人負担0.115%)に加え、介護保険料率も1.59%→1.62%に微増している。一方で健康保険料率は東京の場合9.91%→9.85%に下がった。

これらを整理すると:

項目2025年度2026年度増減
健康保険料率(東京)9.91%9.85%−0.06%
介護保険料率1.59%1.62%+0.03%
子育て支援金率なし0.23%+0.23%(新設)
厚生年金保険料率18.3%18.3%変動なし
雇用保険料率(本人)0.5%0.5%変動なし

差し引きすると、40歳未満なら「ほぼ横ばいか微増」、40歳以上なら「わずかに負担増」というのが実態だ。劇的な変化ではないが、額面が同じなのに手取りが数百円〜千円単位で減るのは精神的に引っかかる。

もっとも、社会保険料率は毎年変わるものだし、子育て支援金は今後さらに上がる。こども家庭庁の試算によれば、年収800万円の会社員は月767円の負担とされているが、これはあくまで2026年度の数字だ。

ボーナスの手取りを正確に知りたければ、額面に0.8を掛けてざっくり計算するより、以下のステップで一度自分の数字を出してみることを勧める。面倒だが、一度やれば仕組みが理解できるので、来年以降は明細を見ただけで内訳がわかるようになる。

自分の手取りを計算するための3ステップ

ステップ1: 前月の給与明細を用意する。 前月の総支給額と、そこから天引きされた社会保険料の合計額を確認する。総支給額から社保合計を引いた「社保控除後の金額」がわかればOKだ。例えば総支給35万円、社保合計5.1万円なら、社保控除後は約29.9万円。

ステップ2: 国税庁の算出率の表で所得税率を引く。 「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」の令和8年分をPDFで国税庁サイトからダウンロードできる。ステップ1で出した社保控除後の金額と扶養人数の交差点が、自分の賞与に適用される税率だ。

ステップ3: 社会保険料と所得税を計算して差し引く。 計算式はこうなる:

  • 社会保険料 = ボーナス額面 × 14.69%(40歳未満の場合)
  • 所得税 = (ボーナス額面 − 社会保険料) × ステップ2の税率
  • 手取り = ボーナス額面 − 社会保険料 − 所得税

給与計算ソフトやオンラインの自動計算ツールを使ってもいいが、一度は手計算してみることを勧める。「何にいくら取られているか」の実感が湧くのは手計算だけだ。特に転職直後や昇給後は前月給与が前の会社と違うため、税率が変わって手取りが予想と異なることがある。

知っておくと得する細かい話

社会保険料の「上限」

見落としがちだが、賞与の社会保険料には上限が設定されている。厚生年金は1回の賞与につき150万円が標準賞与額の上限。健康保険は年度累計573万円が上限だ。上限を超えた部分には保険料がかからない。

つまり額面200万円のボーナスをもらう人の場合、厚生年金は150万円分までしか計算されず、超過分50万円には厚生年金がかからない。高額ボーナスの人ほど天引き率が下がるという、ちょっとした逆進性がある。年収が高い管理職や外資系社員でボーナス額面が150万円を超える場合は、この上限の恩恵を受けているケースが多い。逆に言えば、額面が150万円以下の大多数の人にとっては上限の存在は関係ない。

ボーナスが「前月給与の10倍以上」の場合

通常の算出率の表が使えないケースがある。賞与の額面が前月社保控除後の給与の10倍を超える場合は、別の計算式を使う必要がある。年俸制で賞与の比率が極端に高い場合など、レアケースだが該当すると計算方法がまったく変わるので注意が必要だ。

転職・退職予定者のボーナス天引き

転職や退職を控えている人は、ボーナスの天引きに関して通常とは異なる状況が生じることがある。

退職月にボーナスが支給される場合、社会保険料の取り扱いは「退職日」次第だ。月末退職なら通常どおり社会保険料が天引きされるが、月末以外の日に退職すると、その月の社会保険料はかからない。例えば6月15日にボーナスを受け取って6月20日に退職する場合、6月分の健康保険料と厚生年金は徴収されない。ただし、国民健康保険や国民年金への切り替えが翌日から必要になるため、手取りが増えたように見えても実質的な負担は変わらない点に注意が必要だ。

転職先が決まっている場合、前の会社のボーナスで天引きされた所得税は、転職先の年末調整で精算される。源泉徴収票を転職先に提出し忘れると、二重課税のまま放置されるリスクがある。退職時に受け取る源泉徴収票は必ず保管しておくべきだ。年内に転職しない場合は確定申告が必要になるため、その際にも源泉徴収票は必須の書類となる。

また、退職金とボーナスは税制上まったく別の扱いだ。退職金は「退職所得」として分離課税され、勤続年数に応じた大きな控除がある。一方、ボーナスは通常の給与所得として課税される。退職前後に両方を受け取る場合は、それぞれの税金の仕組みを別々に理解しておく必要がある。

社会保険料は「払い損」ではない

天引き額を見ると「取られすぎだ」と感じるかもしれないが、社会保険料は完全な税金とは性質が異なる。厚生年金は将来の年金受給額に直結し、健康保険料は傷病手当金(給与の約2/3、最長1年6ヶ月)や出産手当金の計算基礎になる。標準賞与額が高いほど、万一の際の給付額も上がる。引かれた分が全額無駄になるわけではない。

とはいえ、目の前の手取りが重要な場面は多い。住宅ローンの返済や旅行の資金計画など、ボーナスの手取りを正確に予測する必要がある場面ではこの記事の計算方法を使ってほしい。扶養控除の申告漏れがないか、iDeCoの枠を使い切っているか、この2点だけでも確認しておけば年間数万円の差になり得る。特にiDeCoは一度設定すれば自動で引き落とされるため、手間に対する節税効果が非常に高い。未加入の人は勤務先に企業年金の有無を確認したうえで、加入を検討する価値がある。

なお、ボーナスの明細が届いたら、社会保険料の各項目と所得税額をこの記事の表と照らし合わせてみることを勧める。自分の天引きの内訳を把握しておけば、翌年以降に料率が変わったときにも「どの項目がいくら増えたか」を即座に判断できる。漠然と「手取りが減った」と感じるのと、原因を特定できるのとでは、対策の打ちようがまったく違う。

特に2026年は子ども・子育て支援金という新しい天引き項目が増えた初年度だ。明細に見慣れない項目があっても慌てる必要はない。健康保険料の内訳として表示されるか、独立した項目として表示されるかは会社の給与システムによって異なるが、いずれにしても本人負担は額面の0.115%だ。来年以降の引き上げ幅も含め、この項目は今後注視しておく価値がある。

よくある疑問

Q. パートやアルバイトでもボーナスから社会保険料は引かれるか? 社会保険に加入していれば、雇用形態に関係なく引かれる。ただしパート・アルバイトで社会保険の加入条件(週20時間以上、月額賃金8.8万円以上など)を満たしていない場合は、そもそも社会保険に加入していないため天引きもない。その場合は所得税のみが控除される。

Q. 育休中にボーナスが支給された場合はどうなるか? 育児休業中は社会保険料が免除される。2022年10月の法改正以降、賞与の保険料免除は「連続して1か月を超える育休」を取得した場合に限られる。短期の育休では賞与の保険料免除が適用されない点に注意が必要だ。