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退職代行2026|五月病で辞めたい時の3タイプ判断表

May 4, 2026
2 min read

GWの最終日あたりから、退職代行各社の問い合わせ件数が一気に跳ね上がる。8連休級の長期休暇で「もう戻りたくない」気持ちが固まり、5月7日(2026年は連休明け初出社日)に向けて駆け込み相談が殺到する、というのが業界の毎年のパターンだ。

ただ、勢いで申し込んでしまうと、後から「依頼した会社では交渉ができないと言われた」「離職票が遅れて失業給付が後ろ倒しになった」と詰まる人が一定数いる。退職代行は3つのタイプに分かれていて、それぞれ法的にできる範囲が違う。値段だけで選ぶと損する構造になっている。

ここでは料金ランキングではなく、自分の状況にどのタイプが合うかを判断するための整理をする。読み終えたとき、料金帯と業者タイプを自分のケースに当てはめて選べる状態になっていれば狙い通りだ。

なぜ料金より「3タイプ」を先に見るのか

退職代行を運営できるのは、(a)民間企業、(b)労働組合、(c)弁護士の3つだ。なぜタイプが分かれているかというと、会社と「交渉」する行為が弁護士法72条で制限されているからだ。

弁護士法72条はざっくり言うと「弁護士または弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で法律事務を扱ってはいけない」という条文だ。退職交渉は典型的な法律事務に当たる。民間企業が「有給を消化してから退職したい」「未払い残業代を払ってほしい」を会社に伝えて交渉すると、この72条違反(非弁行為)になる。

労働組合だけが例外的に「団体交渉権」(憲法28条・労働組合法6条)を根拠に交渉できる。弁護士はもちろん弁護士業務として交渉も訴訟もできる。この違いが料金差の正体だ。

タイプできる行為できない行為料金帯(2026年5月時点)
民間企業退職の意思を伝える有給消化交渉、退職日交渉、残業代請求1.5万〜3万円
労働組合上記+有給消化や退職日の交渉損害賠償、未払い賃金の訴訟2.4万〜3万円
弁護士上記+残業代請求、慰謝料、訴訟対応(制限なし)3.3万〜5.5万円+成功報酬

民間業者で「交渉できます」と謳っているところは要注意だ。最低限、運営会社情報・所在地・実績件数が公開されているか、労働組合や顧問弁護士と連携している旨が明示されているかを確認したい。

タイプ別の代表業者と特徴

具体名は変動が早いので、2026年5月時点で名前が挙がりやすい業者を押さえておく。料金は税込ベースかつ正社員契約での目安で、最新の数字は各社サイトで確認する前提で読んでほしい。

民間運営

EXIT、退職代行モームリ、ネルサポなどがこの帯に入る。「辞めると伝えるだけ」が業務範囲で、有給日数の交渉や退職日の調整はできない。ネルサポのように1.5万円前後の最安値帯は、機能を絞ることで価格を下げている。

向いているのは、(a)有給を使い切る予定がない、(b)退職日に争いがない、(c)単に直接話すのが心理的に無理、というシンプルなケースだ。

労働組合運営

OITOMA、ガーディアン、SARABA、退職代行Jobs(労組連携)などがある。料金は2.4万〜3万円で、団体交渉権を背景に有給消化や退職日まで含めて交渉できる。追加料金なしで離職票や源泉徴収票の送付までフォローしてくれる業者が中心だ。

「多くの人が普通に辞めたい」ケースで、迷ったらこの帯を選ぶのが無難な選択になる。

弁護士運営

弁護士法人みやび、弁護士法人フォーゲル綜合などが代表的だ。基本料金は3.3万〜5.5万円で、未払い残業代・退職金・慰謝料の請求があれば回収額の20〜30%前後を成功報酬として上乗せする方式が一般的になっている。

向いているのは、(a)パワハラやセクハラの慰謝料を取りたい、(b)未払い残業代が数十万円〜数百万円規模ある、(c)損害賠償請求を匂わされている、といったケースだ。基本料金だけ見ると割高だが、回収できる金額を考えると弁護士一択になる場面は多い。

即日対応の中身を確認しておく

各社サイトの最上段にほぼ必ず「即日対応」の文字が並ぶが、中身は業者ごとに違う。即日対応とは(a)申込当日に業者から会社へ連絡が入り、(b)その日から本人は出社不要、(c)残務引継ぎや書類提出はその後に郵送ベース、というのが標準パターンだ。

土日祝の対応可否はここで分かれる。SARABAやガーディアンは24時間365日受付を売りにしているが、実際の電話発信は会社の営業時間内になるため、金曜深夜の申込でも会社への連絡は月曜朝になる。GW中に駆け込みで申し込んでも、業者から会社への連絡は5月7日以降にずれる構造だ。

「明日には絶対辞めたい」を達成したいなら、(1)平日24時間受付、(2)入金確認後すぐ業者から会社に電話、(3)朝9時の業務開始時刻に間に合わせる、の3点を必ず事前確認したい。逆に言えば、土曜の昼に申し込んでも月曜午前まではどの業者でも変わらない。

主要10社の早見比較(2026年5月時点)

各社の公式情報を一覧化しておく。料金は税込・正社員契約・追加オプションなしの基本料金で、変動が早いので最新値は必ず公式サイトで確認してほしい。

業者運営タイプ料金後払い24時間対応強み
EXIT民間20,000円×業界最古参・実績豊富
退職代行モームリ民間22,000円×LINEで完結
ネルサポ民間15,000円×業界最安値帯
OITOMA労組24,000円追加料金ゼロ
SARABA労組24,000円×24時間365日
ガーディアン労組29,800円×都労委認証
退職代行Jobs労組連携27,000円弁護士監修
辞めるんです民間27,000円後払い対応
弁護士法人みやび弁護士55,000円×残業代回収特化
弁護士法人フォーゲル綜合弁護士33,000円×労働問題特化

「迷ったら労組系の中央値」を目安にすると、SARABA・OITOMAの2.4万円帯が標準解になる。最安のネルサポは正社員以外(契約社員・パート)で別料金になる場合があるので、雇用形態を最初に伝えて見積もりを取る。

後払い・全額返金保証の実態

「お金がない」状態で辞めたい人向けに、後払い対応や返金保証を打ち出している業者が増えてきた。代表例は辞めるんです、退職代行ニチロー、退職代行コンシェルジュなどだ。

注意点として、後払いは無条件ではない。多くは退職完了後の振込を求める形式で、給与・退職金の振込見込みが立っていることが前提になる。雇用形態によっては利用不可の場合もあるので、申込前に条件を必ず読み込みたい。

返金保証も「退職に失敗したら全額返金」が文字通りの意味で、実態としては「弁護士が出てきても退職を強行してくれる」業者であれば失敗自体がほぼ起きない。返金保証の有無より、運営タイプ(労組か弁護士か)を先に見たほうが期待値は高い。

状況別の判断フロー

迷ったら、上から順に当てはまる行で止まればよい。

状況推奨タイプ理由
未払い残業代やパワハラ慰謝料を取りたい弁護士民間・労組では請求自体ができない
有給を全部消化したい・退職日を調整したい労働組合民間では交渉そのものが非弁行為
入社1年未満の新卒、有給ほぼゼロ労働組合離職票確実取得で失業給付準備
とにかく明日から行きたくないだけ民間最安業務範囲を絞って料金を下げている
後払いで現金がない後払い対応の労組系辞めるんです・退職代行Jobsなど

新卒1年未満の人が民間最安に行きがちだが、雇用保険被保険者期間が1年に満たないと基本手当が出ない可能性があり、離職票や被保険者証を確実に受け取れる労組系にしておいたほうが無難だ。

申込前に揃えておく書類とデータ

業者選びと並行して、自分側で集めておく情報がいくつかある。これが揃っていると初回相談の15分で話が完結し、当日中の依頼に進める。揃っていないと無駄に1〜2日溶ける。

  • 会社の正式名称・本社所在地・代表電話番号 — 業者が連絡する先。名刺と就業規則の表紙で確認できる。
  • 直属の上司の氏名・部署・連絡先 — 第一報を入れる相手として指定する。
  • 入社日と現在の雇用形態 — 正社員/契約社員/派遣で料金が変わる業者がある。
  • 直近3ヶ月の給与明細と勤怠データ — 残業代未払いの可能性を弁護士に判断してもらう材料。スマホで写真を撮っておくだけで十分だ。
  • 就業規則と雇用契約書のPDF — 退職予告期間(民法上は2週間、就業規則で1〜2ヶ月としている会社も多い)を確認する。
  • 有給残日数 — 給与明細または勤怠システムで確認。労組に交渉してもらう材料。
  • 会社から借りているもの一覧 — PC、スマホ、社員証、健康保険証、制服、書籍。郵送返却の準備に使う。

特に勤怠データは、退職後にアクセス権を切られると取得不可能になる。連休中の今のうちにスクリーンショットを撮っておく価値は大きい。

申込から退職完了までの流れ

平均的には、申込から離職票受け取りまで2〜4週間で完了する。

  1. LINEまたはWebフォームで無料相談(15〜30分)
  2. 料金確認・入金(振込・クレカ・後払い)
  3. 退職日確定・必要事項のヒアリング(連絡してほしい時刻、私物の返却方法など)
  4. 業者から会社へ電話(即日対応の業者なら朝一)
  5. 退職届を本人が郵送(テンプレート提供あり)
  6. 会社から離職票・雇用保険被保険者証・源泉徴収票が郵送(2〜4週間)

業者は「会社に意思を伝える」のが本業で、退職届の郵送と書類受領は本人がやることになる。ここを業者任せにできると勘違いして書類紛失に繋がるケースがあるので、最後の郵送だけは自分の手でやる前提で動きたい。

退職後にやる4つの手続き

退職代行を使ってもこの作業は本人が走らせる必要がある。退職翌日から動き出すつもりでいい。

  • 健康保険切替(20日以内) — 任意継続(保険料が会社負担分も自分持ちになるため2倍弱)か国民健康保険(前年所得ベース)を比較。自治体窓口かマイナポータルで試算してから決める。
  • 国民年金種別変更(14日以内) — 第2号(会社員)→第1号(自営・無職)へ。市区町村窓口で手続き。
  • 失業給付の申請 — 離職票が届いたら居住地のハローワークで求職申込。2025年4月の改正で自己都合の給付制限が2ヶ月から1ヶ月に短縮された(関連: 失業保険 自己都合1ヶ月化)。
  • 住民税切替 — 給与天引き(特別徴収)から自分で納付(普通徴収)へ自動切替。6月以降に納付書が届く。副業をしていた人は通知書の見方を別途確認しておきたい(関連: 副業の住民税)。

退職金が出る人は、勤続年数と一時金/年金の選択で手取りが大きく変わる。DC(企業型)を併用していたなら10年ルールに注意したい(関連: 退職金とDCの手取り)。

退職代行費用と「直接話さないために払う対価」の経済性

費用が2万円か5万円かで悩む人は多いが、これを「自分が直接話さないために払う対価」と捉えると判断が早くなる。例えば直属の上司に1時間退職交渉して、その後さらに人事面談2回・引継ぎ会議3回が発生するとして、合計10時間の精神的負荷を仮に時給5,000円換算すると5万円相当。これと業者への支払いがほぼイコールになる。

業者タイプ料金目安想定回避時間1時間あたり換算
民間最安(ネルサポ等)1.5万円5時間3,000円
労組系(SARABA等)2.4万円10時間2,400円
弁護士(みやび等)5.5万円15時間+残業代回収3,700円+α

弁護士運営の単価が一番高そうで、未払い残業代が回収できるなら実質的なリターンは最も大きい。月60時間×2年分の未払い残業代を200万円規模で回収できた事例では、5.5万円の基本料金と成功報酬40万円(20%)を差し引いても、本人の手取りは155万円残る。

失業給付の手取りを試算しておく

退職代行の費用は2〜5万円程度だが、退職後の生活費との比較で見ないと判断を誤る。失業給付がいくら出るかを概算しておくと、依頼料が「先行投資」なのか「見栄」なのかが見える。

基本手当日額は、退職前6ヶ月の賃金合計÷180日で計算した賃金日額に、給付率(50〜80%、低所得ほど高率)を掛ける。月給25万円で6ヶ月勤務なら賃金日額約8,333円、給付率は60%前後で日額5,000円、月20日換算で月10万円が目安だ。

退職前月収月給ベース失業給付所定給付日数(自己都合・10年未満)
18万円月12万円前後90日
25万円月15万円前後90日
35万円月18万円前後90日
45万円月20万円(上限近辺)90日

自己都合退職で勤続10年未満なら所定給付日数は90日(3ヶ月分)。1ヶ月の給付制限を経て約4ヶ月後から3ヶ月支給される計算になる。退職代行費用2万円は1日分の生活費にも満たない金額で、ここで節約する経済合理性は低い。

実例で見る3パターン

抽象論だけだと判断軸が掴みにくいので、よくあるケースをタイプ別に並べておく。

ケースA: 新卒1ヶ月、上司のパワハラで体調を崩した

雇用保険被保険者期間が短く失業給付の対象外になりやすい。パワハラ慰謝料を取るほど証拠が揃っていない場合は、労働組合運営の業者(2.4万円前後)で離職票を確実に確保し、3ヶ月程度の生活費を貯金から取り崩す前提で動く。気力が残っていれば心療内科の診断書を取って傷病手当金(健康保険から最長1年6ヶ月、給与の約2/3)を狙うルートもある。

ケースB: 中途入社3年、月60時間の残業代が未払い

タイムカードや勤怠データのスクリーンショットが揃っているなら弁護士運営に依頼する。基本料金5万円前後+成功報酬20%でも、180万円回収できれば手取りは110万円超。労働組合では請求自体ができないので、ここで節約するメリットはない。

ケースC: 転職3ヶ月、職場が合わないと感じる

未払いもパワハラもなく、純粋に「合わない」だけのケース。労働組合運営2.4万円+有給10日消化で、最終出社日から有給期間中の給与を受け取りつつ離職する流れが標準解になる。次の転職活動はGW明けの求人増加期に重ねるのが現実的だ。

「会社が退職を認めない」と言われた場合

民法627条で、無期雇用の労働者は2週間前に退職を申し入れれば一方的に退職できる。会社の同意は不要だ。「就業規則に1ヶ月前と書いてある」「後任が決まるまで辞めさせない」「損害賠償を請求する」と言われても、法的な拘束力はほぼない。

労組や弁護士運営の業者を通せば、こうしたフレーズへの返答テンプレートを業者が持っている。電話口で会社の人事担当が長く粘っても、業者側は事務的に「本人は法的に退職可能な状態にある旨をお伝えします」で切り上げる。本人が直接電話を受ける必要はない。

ただし、有期雇用契約(契約社員・派遣)で契約期間中の中途解除は、やむを得ない事由(民法628条)が必要になる。健康上の理由・家族の介護・パワハラなど、客観的に説明できる事由がある場合に限られる。期間満了まで2〜3ヶ月の場合は、満了を待つほうが揉めずに済むことが多い。

損害賠償請求が実際に認められた裁判例は、ほぼ全てが「重要プロジェクトの引継ぎを完全に拒否した」「機密情報を持ち出した」など、退職そのものではなく退職に伴う行為が原因だ。普通に辞めるだけで賠償請求が成立した事例はまず無い。

転職への影響と「使ってはいけない選択」

転職先の人事が「退職代行を使ったか」を直接知る方法はない。前職の同僚伝いに広まる可能性は否定できないが、面接でも自ら告げる必要はない。職務経歴書の退職理由は「一身上の都合」で問題ない。

ただし、辞めた会社が同業界・同地域で取引のある先だと噂が回るリスクは残る。退職代行の利用そのものより、辞め方が雑(私物放置・引継ぎゼロ・連絡完全遮断)だった場合のほうが業界内で記憶されやすい印象だ。

避けたい選択をいくつか挙げておく。

  • 民間業者に未払い残業代や慰謝料の交渉を頼む(非弁行為で無効化されるリスク)
  • 検索結果1位だけで業者を決める(SNS広告比率が高い業者は手数料に上乗せされている)
  • 料金最安だけで選ぶ(業務範囲が狭い・離職票フォローなしで結局困る)
  • 退職届の郵送を業者任せにする(紛失時に責任の所在が曖昧)
  • 健康保険切替を後回しにする(20日を過ぎると任意継続が選べなくなる)

GW明け1週間にやることのタイムライン

連休最終日の5月6日から逆算で動くと、5月7日の朝に間に合う。

  • 5月4日(GW中盤) — 業者3社をピックアップして無料相談LINEを送る。返信は1〜2時間で返ってくる業者が多い。
  • 5月5日 — 必要書類(給与明細・勤怠データ・就業規則)をスマホで写真撮影。私物リストを作成。
  • 5月6日(GW最終日) — 業者を1社に絞り、料金確認と入金準備。クレジットカードで前払い、または振込予定の口座を確認。
  • 5月7日 午前 — 入金完了→業者から会社へ連絡(早朝〜9時)。本人は出社せず、自宅で待機。
  • 5月7日 午後〜数日 — 退職届を内容証明郵便で郵送(郵便局窓口で500円程度)。
  • 5月8〜10日 — 私物の郵送返却を業者経由で調整。会社からの貸与品を着払いで返送。
  • 5月14〜21日 — 健康保険の任意継続申請(20日以内)、国民年金種別変更(14日以内)、住民税の納付方法確認。
  • 5月21日〜6月初旬 — 離職票・雇用保険被保険者証・源泉徴収票が届く。届いたらハローワークで失業給付の手続き開始。

平日の動きが7日に集中するのが負荷ピーク。事前にカレンダーに「市役所(年金)」「区役所(健康保険)」「ハローワーク」をブロックしておくと、初週で必要な手続きをほぼ片付けられる。

五月病の波が引く前に決めたい1つのこと

3タイプのうちどれにするか、料金より先に「自分のケースで残業代やパワハラ請求が必要か」だけを今日のうちに判断しておくと迷いが減る。それが必要なら弁護士、不要なら労働組合、というだけのシンプルな分岐だ。

5月7日の朝に申し込みが集中して業者の対応が遅れる年もある。連休中に相談だけ済ませておいて、週明けの朝イチで動けるようにしておくのが、結果的に一番早く抜け出せるルートになることが多い。