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インボイス2026年10月改正|70%控除と3割特例で何が変わる

May 5, 2026
3 min read

5ヶ月後にまた制度が動く

確定申告が終わってひと息ついた5月、SNSでよく見かけた声がある。「来年もこの納税額で済むと思ったら大間違いらしい」——そう、2026年10月にインボイス制度の経過措置が一段切り下がる。当初は「80%→50%」と言われていたが、令和8年度税制改正大綱(令和7年12月19日公表)で軟着陸が選ばれ、結果として「80%→70%」になった。同時に、フリーランスを支えてきた2割特例は2026年9月で終わり、その代わりに個人事業主限定で3割特例が新設された。

数字だけ見ると緩和に思えるが、実際の納税通知書に乗ってくる金額は確実に増える。今のうちに自分の売上規模で何がどれだけ変わるか把握しておかないと、2027年3月の確定申告で青ざめることになる。

この記事では、改正後の最新スケジュール、売上規模別の納税額、3つの戦略、5月から10月までのアクションフローまでを通しで整理する。フリーランス・副業会社員・1人会社オーナーで判断軸が違うので、自分の立ち位置だけ拾い読みしてもいい。

経過措置の新スケジュール:80%→70%→50%→30%→0%

最初に押さえたいのは、免税事業者からの仕入れに対する仕入税額控除の経過措置。これはインボイス未登録の取引先に支払った消費税のうち何%を控除できるか、という買い手側のルールだ。新スケジュールはこうなった。

期間控除割合
〜2026年9月30日80%
2026年10月1日〜2028年9月30日70%
2028年10月1日〜2030年9月30日50%
2030年10月1日〜2031年9月30日30%
2031年10月1日〜0%(廃止)

当初予定の2029年9月終了から、2031年9月終了に2年延長された。さらに2026年10月以降、この経過措置の適用には課税仕入れ年額10億円→1億円の上限が新設される(中小規模はあまり関係ないが、上場系の発注元が経過措置から脱落する効果がある)。

買い手から見れば、免税事業者に支払う100万円の取引のうち、これまで仕入税額控除できなかったのは消費税1万円のさらに2割=2,000円分だった。これが2026年10月以降は3,000円に増える。「たかが千円」と思うかもしれないが、年間数千万円の発注がある企業では数十万円のコスト増になる。だから免税のままの取引先には値引き交渉が再燃する——というのが今後5ヶ月の市場予測だ。

2割特例は終わるが「3割特例」が個人事業主限定で残る

買い手側の話と並行して、売り手側にも大きな改正が入った。免税事業者から課税登録した小規模事業者の納税額を売上消費税の20%に抑える2割特例は、当初の予定通り2026年9月30日で終了する。

ただし、フリーランス保護の流れを受けて、個人事業主限定で「3割特例」が新設された。中身はこうだ。

  • 適用対象期間:2027年分・2028年分の確定申告(2年間)
  • 適用対象:個人事業者のみ(法人は対象外)
  • 納税額:売上に係る消費税額の30%
  • 適用条件:基準期間(2年前)の課税売上高1,000万円以下など、従来の2割特例とほぼ同じ

法人を作って課税登録している1人会社オーナーは対象外なので、ここで判断が分かれる。年商800万〜1,000万円のフリーランスエンジニアやデザイナーは、無理に法人化せず個人事業のまま3割特例を取りに行くほうが2028年までは有利、という構造になった。

売上規模別シミュレーション:500万・800万・1,200万円

具体的な数字で見たほうが早い。サービス業(コンサル・エンジニア・ライター・デザイナー)を想定し、課税売上高に対して消費税10%が乗っている前提で、年間納税額(消費税のみ)を試算した。所得税・住民税・国民健康保険は別途発生する。

売上(税込)2割特例(2026年9月まで)3割特例(2027〜2028年・個人のみ)簡易課税50%(第5種・サービス業)本則課税(経費1割と仮定)
550万円約10万円約15万円約25万円約45万円
880万円約16万円約24万円約40万円約72万円
1,320万円約24万円約36万円約60万円約108万円

(売上1,320万円は基準期間で1,000万円超になりやすく、3割特例の対象外になる可能性がある点に注意)

ポイントは2つ。

ポイント1: 2割特例から3割特例への移行で納税額は1.5倍になる。年商880万円のサービス業フリーランスなら年8万円の負担増。これは確実に発生する。

ポイント2: 3割特例が使えない法人と、3割特例を使い切ったあとの個人事業主は、簡易課税に切替えるのが多くのケースで合理的になる。本則課税は経費の消費税を全部拾える反面、領収書の保管・登録番号の確認・帳簿の細かい区分など事務負担が重い。サービス業で経費の消費税が少ない事業ほど、簡易課税のみなし仕入率(第5種50%)で計算したほうが手間も納税額もマシになる。

業種別の簡易課税みなし仕入率

経過措置と特例の出口に必ず登場するのが簡易課税だ。本則課税のように経費を1件ずつ拾わず、業種ごとに決められた「みなし仕入率」で機械的に計算する仕組み。前々年の課税売上高が5,000万円以下なら選択できる。

区分業種みなし仕入率
第1種卸売業90%
第2種小売業・農林漁業(消費者向け)80%
第3種製造業・建設業・農林漁業(事業者向け)70%
第4種飲食業・上記以外60%
第5種サービス業・金融業・保険業・運輸通信業50%
第6種不動産業40%

エンジニア・ライター・コンサル・デザイナーは第5種(サービス業)に該当することが多く、納税額は売上消費税の50%。Webメディア運営やアフィリエイトも基本は第5種だ。一方、ハンドメイド作家がBASEで消費者向けに販売しているなら第2種、企業向けに製造受託しているなら第3種、と相手によって変わる事業もある。判定が微妙な事業は税理士に確認したほうがいい。

3つの戦略:免税継続・3割特例・簡易課税

立ち位置によって最適解は変わる。整理するとこうなる。

戦略対象2026年10月以降の納税(売上880万円の場合)主なリスク
A:免税継続売上700万円以下・BtoCメイン・個人事業主0円取引先からの値引き要請・登録要請
B:3割特例個人事業主・基準期間売上1,000万円以下約24万円2028年分まで限定・以降の出口設計が必要
C:簡易課税(第5種)法人・3割特例対象外・3割特例後の個人約40万円前年12月31日までの届出必須・2年間継続義務

戦略A:免税のままで続ける

向いている人:売上700万円以下で取引先がBtoCメイン(消費者・YouTube広告・アフィリエイト・物販)。BtoBがあっても、相手が小規模で「経過措置の70%控除があるから多少は許容」と言ってくれる関係。

注意点:発注元から登録要請が来たときの値引き圧力。経過措置70%控除を踏まえると、買い手側が失う実コストは消費税相当額の30%、売上ベースで言えば3%程度。値引きを受け入れる場合の上限はここに置く。「消費税分まるまる引いてくれ」と言われたら、それは経過措置を無視した過剰要求だ。

戦略B:3割特例(個人事業主限定・2027〜2028年分)

向いている人:すでに2割特例で課税登録している個人事業主で、基準期間の課税売上高が1,000万円以下。法人化はまだ視野にない。

注意点:適用は2028年分(2029年3月確定申告)まで。2029年分以降は強制的に簡易課税か本則課税に切替わる。3割特例期間中に売上が1,000万円を超えると基準期間ルールで途中から外れる可能性もある。

戦略C:簡易課税(本則と二択)

向いている人:法人で課税登録している1人会社オーナー、3割特例の対象から外れる売上規模、3割特例終了後の個人事業主、もしくは経費の消費税が売上消費税の50%(サービス業)・60%(その他)・70%(製造業)を超える事業。

注意点:簡易課税選択届出書の提出期限は適用したい年の前年12月31日。2027年分から簡易課税にしたいなら2026年12月31日まで。一度選択すると2年間継続義務がある。

本則課税が有利になるケース

ほとんどのフリーランスは簡易課税で十分だが、本則課税を選ぶべき例外もある。

  • 物販EC・ハンドメイド販売:仕入と発送費の消費税が売上の60〜70%を占めるケース。第2種(80%)より高い実費率なら本則課税が逆転する。
  • 店舗・設備投資の年:カフェ開業・撮影スタジオ開設・大型機材購入など、設備投資で1,000万円規模の消費税を支払う年。本則課税で還付を取りに行くほうが有利。
  • 不動産投資1棟目の購入年:第6種(40%)のみなし仕入率より、実際の登記費用・仲介手数料・修繕費の消費税のほうが大きい。

ただし本則課税を選ぶと、その後2年間は簡易課税に戻れない継続義務がある点は要注意。

副業会社員の判断は単純化できる

本業で社会保険に入っている会社員が、副業で個人事業届(または副業として雑所得)を出しているケース。副業売上の規模で判断は分かれる。

  • 副業売上100万円以下:免税のままでほぼ問題ない。BtoBのライティング受託やコンサル単発があっても、相手が経過措置70%控除を許容する範囲。
  • 副業売上100〜300万円:取引先が大企業1社に集中していると登録要請が来る可能性がある。複数顧客に分散していれば免税継続の選択肢が残る。
  • 副業売上300万円以上:発注元の経理ルールで「インボイス登録番号がない請求書は受領しない」と通告されることが増える。3割特例(個人事業主限定)で課税登録に切替えるのが現実解。

副業での課税登録は本業の年末調整に直接の影響はない。ただし副業の所得が住民税通知書を通して本業に伝わるリスクは別問題で、これは過去記事副業会社員の住民税どこまでバレるかで詳しく書いた。

C2C・広告収入・配達系プラットフォームの扱い

メルカリやPayPayフリマでの個人売買、Uber Eats・出前館の配達収入、YouTubeパートナープログラム、Google AdSenseなどの収入はインボイスとどう絡むか。結論から言うと、多くは免税継続でも実害が小さい

  • メルカリ・ヤフオク・PayPayフリマ:相手が消費者なのでインボイスは原則不要。事業規模なら別途課税事業者判定。
  • Uber Eats・出前館:プラットフォーム側の支払い側ロジックで処理されており、配達員個人がインボイス登録するメリットは限定的。
  • YouTube・Google AdSense:広告主はGoogle側の法人で、個人クリエイターへの支払いはGoogle Asia Pacificから国外取引扱いになるため、消費税の課税対象にならない(輸出免税)。インボイス登録の必要なし。
  • Amazon アソシエイト・楽天アフィリエイト:支払元が日本法人で消費税相当額が乗っているケース。発注元(Amazon・楽天)から登録要請が来たら判断する余地あり。

やってはいけない選択

実務でよく見る失敗を5つ並べておく。

  1. 取消届出の期限を逃す:免税に戻したいなら「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を、戻したい年の前年12月17日までに提出。2027年から免税に戻りたいなら2026年12月17日が締切。
  2. 簡易課税届出を出し忘れる:2026年12月31日までに出さないと、2割特例終了後は自動で本則課税になる。サービス業ならほぼ間違いなく損。
  3. 取引先全部に同じ対応をする:BtoBの大企業発注元と、BtoCの読者・顧客で対応を分けないと、取れる売上を取り逃す。
  4. 「3割特例があるから法人化見送り」と単純判断する:3割特例は2028年分まで。社会保険・国保切替・経費拡大など、法人化のメリットは消費税以外にも広がる。詳しくは別記事フリーランス年収別の手取りと節税シミュレーションで書いた。
  5. 値引き要請を全額飲む:経過措置70%控除がある2026年10月以降、買い手の実コスト増は売上の3%程度。10%丸ごとの値引きは受ける必要がない。

クラウド会計ソフトの切替え対応

freee・マネーフォワードクラウド・弥生オンラインの3社は、2026年10月切替えに向けてアップデートを順次配信している。共通して必要な作業はこうだ。

  • 税区分の切替え:現行「経過措置80%」と設定されている取引先別の税区分を、10月1日以降に発生する取引から「70%」に変更する。freeeとマネーフォワードは自動切替えのオプションあり、弥生は手動で更新が必要なケースが多い。
  • 登録番号の再チェック:取引先の登録番号(Tから始まる13桁)が国税庁の公表サイトで有効か、年に1回はバルクチェックする。会計ソフトに自動チェック機能がある場合は活用する。取引先が登録を取り消していた場合、知らずに本則課税で控除を続けると修正申告が必要になる。
  • 請求書テンプレの確認:売り手側として、登録番号・税率・税抜・税込の表記漏れがないか。特に8%軽減税率の取引(飲食料品の販売)がある事業者は、税率ごとの内訳を必ず明記する。
  • 2割特例から3割特例への切替え:該当する個人事業主は、2027年分の確定申告から30%計算に切替わる。会計ソフト側で「3割特例」の選択メニューが表示されるのは秋〜冬以降になる見通し。

取消届出の出し方:期限と書式

「もう登録は外したい」と決めたら、出すのは「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」。国税庁サイトからPDFまたはe-Taxで提出できる。

期限は重要なので繰り返しておく。免税に戻したい年の前年12月17日まで。2027年1月1日から免税に戻りたいなら、2026年12月17日が締切。これを1日でも過ぎると、免税復帰は2028年1月1日まで丸1年待たされる。

書式は1枚もので、登録番号・取消希望日・氏名・住所・押印が要素のすべて。記入難度は低いが、e-Taxで送る場合は事前にマイナンバーカード認証の設定が必要なので、提出予定日の1〜2週間前には準備を済ませる。郵送なら所轄税務署宛に簡易書留で送るのが無難だ。

ひとつ注意点として、取消届出を出した後でも、12月17日までは撤回できる。逆に12月18日以降は確定するので、慎重に出したいなら12月初旬がちょうどいいタイミング。

5月から10月までのアクションフロー

時間軸でやることを並べる。

  • 5月(今):確定申告書をもとに前年売上・取引先構成・課税登録状況を可視化。法人か個人か、3割特例の対象か、を確認。
  • 6月:主要取引先に「2026年10月以降の取引方針」を口頭で確認。値引き要請の有無、登録継続の希望、契約改定の可能性を聞き出す。
  • 7月:売上規模別の年間納税額を3パターン(免税継続・3割特例・簡易課税)で試算。税理士無料相談を使うなら早めに予約。
  • 8〜9月:取消届出・簡易課税届出の準備(出すなら年末までだが、早めに動かないと年末の事務繁忙期で詰む)。請求書テンプレと会計ソフトの設定変更も並行。
  • 10月1日:経過措置70%控除施行。2割特例は9月30日で終了。10月以降の発行請求書は新ルールで運用開始。
  • 12月:取消届出は12月17日、簡易課税届出は12月31日の二段階期限。ここを過ぎると翌年の選択肢が消える。

税理士に聞くか、自分で調べるか

このテーマは「自分で調べて完結できる難度」を超え始めている。年商500万円以下のシンプルなサービス業ならネット情報で対応可能だが、以下に1つでも当てはまるなら税理士相談を検討したほうがいい。

  • 売上が年800万円を超え、課税事業者の判定が複雑になる
  • BtoBとBtoCが混在し、取引先別に対応を分けたい
  • 簡易課税の業種判定(第3種か第4種か、第4種か第5種か)で迷う
  • 配偶者・親族への外注費があり源泉徴収との関係が複雑
  • 法人化(マイクロ法人スキームなど)を含めた中長期設計をしたい

単発のスポット相談なら1時間1〜2万円が相場。年契約の顧問契約は月2〜5万円で、確定申告料込みで年間20〜40万円程度。3割特例や簡易課税の選択を間違えると年10〜30万円の損失になり得るので、相談料は十分回収できる範囲だ。

会計ソフトはfreee・マネーフォワード・弥生のいずれもインボイス対応に積極的で、UIで判断を支援する仕組みが入っている。自分で完結する派なら、ソフトの該当ヘルプを年に1回読み直す習慣を持つだけでもかなり違う。

業種別・売上帯別の3割特例 vs 簡易課税の損益分岐

3割特例と簡易課税(第5種・サービス業のみなし仕入率50%)を併用できるのは個人事業主だけだ。両者の納税額をサービス業の代表的な売上帯で並べると、判断軸が明確になる。

売上(税込)3割特例(個人)簡易課税 第5種(50%)簡易課税 第3種(70%)本則(経費10%)
330万円約9万円約15万円約9万円約27万円
550万円約15万円約25万円約15万円約45万円
770万円約21万円約35万円約21万円約63万円
990万円約27万円約45万円約27万円約81万円
1,100万円対象外見込約50万円約30万円約90万円

サービス業の場合、3割特例期間中は3割特例が圧勝。期間終了後は第5種50%しか選べないため、納税額は1.7倍に跳ねる。3割特例の終わり(2028年分=2029年3月申告)を見据えて、2028年中に経費率の高い投資を寄せる、もしくはマイクロ法人化など別の出口を検討する設計が必要になる。

製造業や建設業の第3種(70%)は、もともと3割特例とほぼ同じ納税水準になる。だから第3種の事業者にとっては3割特例終了の衝撃は小さい。

業種別の早見表(料率別の年間納税額の目安)

事業の主軸が決まっている人向けに、業種別のみなし仕入率と年間納税額の目安を一覧化しておく。売上1,000万円(税込)・税率10%前提。

業種みなし仕入率区分売上消費税みなし仕入控除納税額(年)
卸売業90%第1種90.9万円81.8万円約9万円
小売業80%第2種90.9万円72.7万円約18万円
製造業70%第3種90.9万円63.6万円約27万円
飲食業60%第4種90.9万円54.5万円約36万円
サービス業50%第5種90.9万円45.5万円約45万円
不動産業40%第6種90.9万円36.4万円約54万円

サービス業ほど納税額は重く、卸売業ほど軽い。これがインボイス制度の業種別ロードマップの裏側にある構造だ。事業を複数営んでいる場合は、売上比率の按分計算で各区分のみなし仕入率を組合せる。

よくある質問への短い回答

実際に相談を受けたなかで、判断の岐路に立つ人の多くが同じ点でつまずく。要点だけ抜き出しておく。

Q1. 取引先全社が「登録番号がないと取引しない」と言ってきたら、すぐ登録すべきか? A. すぐではない。経過措置70%控除を踏まえた値引き交渉の余地を最初に試す。それでも全社が断固登録要請なら、登録は2026年10月以降の任意のタイミングで可能だ。3割特例(個人事業主限定)が使える年内に登録すれば2027年分から30%計算で済む。

Q2. 適格請求書に書く事業者名は屋号でいいか? A. 屋号単独はNG。本名(または法人名)が必須で、屋号は併記扱い。請求書テンプレを屋号だけで作っている人は10月までに修正する必要がある。国税庁の公表サイトに表示される事業者名と請求書記載が食い違うと、買い手側で控除否認のリスクが出る。

Q3. 売上が年700万円程度で、相手の半分がBtoC・半分がBtoB。免税のままでいけるか? A. BtoB側の発注元が中小・個人事業主なら経過措置70%で当面は問題が起きにくい。発注元が課税売上1億円超の中堅企業以上だと、2026年10月の経過措置上限新設で控除そのものができなくなり、登録要請が強まる。相手の規模で判断が分かれる典型ケース。

Q4. 一度登録したら、もう免税には戻れない? A. 戻れる。課税期間2年継続義務はあるが、それ以降は取消届出を年末までに出せば翌年から免税復帰できる。「登録=不可逆」という誤解で動けなくなっている人が多いが、そんなことはない。

Q5. 課税登録した最初の年に大きな設備投資をしたが、簡易課税を選んでしまった。本則のほうが得だったが、もう変えられないか? A. 簡易課税の継続義務は2年。1年目は簡易課税で確定し、3年目から本則に戻すしかない。事前に届出書を選ぶ前にシミュレーションしなかったツケがここに出る。設備投資年と簡易課税届出はセットで検討すべきだった、という反省例として共有しておく。

制度はまだ動いている

正確な数値や個別判断は税理士、もしくは国税庁のインボイス制度特設サイトで必ず確認してほしい。制度設計はまだ細部が動いており、夏から秋にかけて国税庁QAの追加更新が続く見通しだ。

判断を急ぐより、6月の取引先ヒアリングと7月のシミュレーションに時間を使ったほうが結果的に納税額は下がる。期限のある届出(12月17日の取消、12月31日の簡易課税選択)だけは絶対に逃さないように、カレンダーに3回はリマインダーを入れておくことをおすすめする。