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2026年税制改正で手取りはいくら変わるか

April 20, 2026
2 min read

「減税」と「増税」が同時に来る年

2026年は珍しい年だ。基礎控除の引き上げによる減税と、防衛特別所得税の新設による増税が同じタイミングで議論されている。ニュースの見出しだけ追っていると「結局、手取りは増えるの? 減るの?」がわからなくなる。

結論から言うと、2026年分の所得に関しては大半の会社員にとってプラスになる。ただし年収帯によって恩恵の大きさがかなり違う。自分がどこに当てはまるか、具体的な数字で確認しておく価値はある。

ニュースでは「年収の壁が178万円に」「基礎控除が104万円に」といった数字が飛び交うが、重要なのは「自分の年収で所得税がいくら減るか」という一点だ。本記事では年収300万〜800万円の5パターンで、2026年の税制改正が手取りに与える影響を計算した。

基礎控除の引き上げ——何がどう変わったか

まず変更の全体像を整理する。

項目改正前(2024年分まで)改正後(2026年分)
基礎控除(所得税)48万円最大104万円(特例込み)
給与所得控除の最低保障額55万円69万円
所得税の課税最低限103万円178万円
住民税の基礎控除43万円43万円(変更なし)

ポイントは3つある。

1つ目は、基礎控除の引き上げ幅が年収によって違うこと。合計所得金額489万円以下(給与年収で約665万円以下)なら特例加算で104万円まで上がるが、489万円超〜655万円以下だと67万円、655万円超だと62万円にとどまる。つまり、年収が高い人ほど控除の増加幅が小さくなる逆進的な設計だ。

2つ目は、住民税の基礎控除は据え置きという点。「控除が56万円も増える」と聞いて期待しすぎると、住民税の通知書を見てがっかりすることになる。減税の恩恵は所得税側に集中している。住民税の基礎控除は43万円のまま動いていない。

3つ目は、この特例措置が2年間限定であること。104万円の基礎控除が適用されるのは2025年分と2026年分のみ。2027年分からは本則の62万円に戻る見込みだ。「来年も同じだけ減税される」と思い込んで生活設計を立てると、2027年に計算が狂う。

所得税の仕組みをおさらい——累進課税の「段」

シミュレーションに入る前に、所得税の税率構造を確認しておく。これを理解していないと、なぜ年収帯で減税額が変わるのかがわからない。

課税所得税率控除額
195万円以下5%0円
195万〜330万円10%97,500円
330万〜695万円20%427,500円
695万〜900万円23%636,000円

よくある誤解だが、課税所得が400万円の人は全額に20%がかかるわけではない。195万円までは5%、195万〜330万円は10%、330万〜400万円は20%と段階的に課税される。

基礎控除が増えると課税所得が減る。その減った分がどの「段」に当たるかで、実際の減税額が変わる。課税所得が高い人は高い税率の段が削られるので減税額が大きくなり、低い人は5%の段しか削られないので減税額は小さい——これが年収帯で恩恵が異なる理由だ。

ただし2026年の特例では、年収が高い人ほど基礎控除の増加幅自体が小さく設定されている。税率は高いが控除増加額が小さい。この2つの要因が掛け合わさって、中所得層に最も手厚い減税設計になっている。

年収別シミュレーション——5パターンで計算

以下は独身・社会保険料控除のみを考慮した概算だ。配偶者控除や扶養控除がある場合はさらに変わるが、基礎控除の変更による影響額を把握するにはこれで十分だろう。

基礎控除の増加分に対して、適用される所得税率を掛けたものが減税額になる。

年収合計所得(目安)基礎控除の増加額適用税率所得税の年間減税額(概算)
300万円約202万円+56万円5%約2.8万円
400万円約276万円+56万円5〜10%約3.5万円
500万円約356万円+56万円10%約5.6万円
600万円約436万円+56万円10〜20%約3.6万円
800万円約610万円+19万円20%約3.8万円

年収600万円前後で政府試算と照らし合わせると約3.6〜3.7万円の減税。年収500万円台の層が控除増加額と税率の組み合わせで最も恩恵を受けやすい。一方、年収800万円は合計所得が489万円を超えるため特例加算が小さくなり、税率は高いのに減税額はそこまで伸びない。

年収300万円の場合

給与所得控除98万円を引くと合計所得は約202万円。社会保険料控除を引いた課税所得はおおよそ110万〜130万円程度で、全額が税率5%の区間に収まる。基礎控除が56万円増えると、5%を掛けて約28,000円の減税だ。月額に換算すると約2,300円。劇的な金額ではないが、年収300万円台の人にとっての3万円弱はそれなりに意味がある。

年収500万円の場合

合計所得は約356万円。課税所得が195万円を超えて10%の税率区間に入っている可能性が高い。基礎控除の増加56万円がまるごと10%の区間にかかれば、約56,000円の減税になる。これが5パターンの中で最も減税額が大きくなる理由だ。月額約4,700円。飲み会1回分くらいは浮く計算になる。

年収800万円の場合

合計所得は約610万円。489万円を超えるので特例加算は+5万円のみ。基礎控除の増加は19万円にとどまる。税率20%を掛けて約38,000円の減税。年収500万円の人より減税額が小さいのは、基礎控除の増加幅が大きく絞られているからだ。年収800万円以上の層にとっては、今回の改正はそこまで大きなインパクトではない。

注意したいのは、これが所得税だけの話だということ。住民税は基礎控除が据え置きなので、住民税側の減税はほぼない。給与所得控除の最低保障額引き上げ(55万→69万円)は住民税にも反映されるが、年収300万円以上の人は最低保障額ではなく計算式ベースの控除額が適用されるため、こちらの影響も限定的だ。

防衛増税——2026年に手取りは減るのか

「防衛特別所得税」という言葉がニュースに出てきて不安に感じた人もいるだろう。結論から言うと、所得税への上乗せが始まるのは2027年1月からだ。2026年分の所得には影響しない。

しかも、その仕組みが少しトリッキーだ。

  • 防衛特別所得税:所得税額の1%を上乗せ(新設)
  • 復興特別所得税:2.1%から1.1%に引き下げ

つまり、2027年以降も付加税の合計は2.1%のまま変わらない。単年度の負担増はゼロだ。

ただし復興特別所得税の課税期間が2037年から2047年に10年延長されるため、長期的には「見えにくい増税」になる。2037年に終わるはずだった上乗せが、あと10年続くわけだ。年間で見ると微々たる金額だが、10年分の累計で考えると無視できない。

2026年の手取りだけを考えるなら、防衛増税の影響はない。ただし、2027年以降のライフプランを立てる際には、「復興特別所得税は2047年まで続く」ということを頭に入れておく必要がある。

なお、法人税については2026年4月から防衛特別法人税が先行適用されている。「(基準法人税額 - 500万円)× 4%」が上乗せされるもので、個人の会社員には直接関係ないが、経営者やフリーランスで法人化している人は注意が必要だ。

食事手当の非課税枠——地味だが効く変更

見落とされがちだが、会社の食事手当(昼食補助)の非課税枠が月3,500円から7,500円に拡大された。会社がこの制度を導入・改定していれば、月4,000円分が新たに非課税になる。年間で約48,000円だ。

これは控除の話ではなく、課税対象にならない手当の話なので、該当する人にとっては基礎控除の引き上げに匹敵するインパクトがある。

ただし、いくつかの条件がある。

  • 会社が食事手当制度を設けていること(すべての企業にあるわけではない)
  • 従業員が食事代の半額以上を負担していること
  • 会社が非課税枠の改定に対応していること

自社に食事手当制度があるなら、総務や人事に「非課税枠の引き上げに対応する予定はあるか」と聞いてみるといい。企業側にとっても福利厚生のコスト効率が上がるので、対応するインセンティブはある。対応してくれれば年間48,000円の差だ。聞くだけならタダだし、何も損しない。

年収の壁178万円——パート世帯が注意すべき点

所得税がかかり始める「年収の壁」が103万円から178万円に引き上げられた。配偶者がパートで働いている世帯にとっては大きな変化だ。

ただし、ここに落とし穴がある。社会保険の壁(130万円)は据え置きのままだ。

つまり、こういう状況が起きる。

  • 年収130万円以下:所得税も社会保険料もかからない(変更なし)
  • 年収130万超〜178万円:所得税はかからないが、社会保険料は発生する可能性がある
  • 年収178万円超:所得税も社会保険料もかかる

「178万円まで大丈夫」と聞いてパートの時間を増やしたら、社会保険料の負担で手取りが減った——という事態は十分ありえる。配偶者のパート収入を計画するなら、103万でも178万でもなく、130万円のラインを意識する方が現実的だ。

さらに注意すべきなのは、従業員51人以上の企業に勤めるパートの場合、社会保険の加入基準が年収106万円(月額88,000円)に設定されていることだ。この場合、106万円を超えた時点で社会保険料が発生する。所得税の壁が178万円に上がっても、社会保険の壁はこの水準のままだ。

配偶者控除にも変化がある。配偶者の年収が150万円以下なら満額の配偶者控除を受けられるが、150万〜201万円は段階的に控除額が減っていく。この仕組み自体は変わっていないものの、年収の壁の引き上げと組み合わせて考えると、「130万円を少し超える」ゾーンが最も注意が必要なエリアだということがわかる。

減税が反映されるタイミング

もう1つ見落とされがちなのが、この減税が毎月の給与にすぐ反映されるわけではないという点だ。

基礎控除の引き上げは年間の所得税額に対する変更なので、実際に手取りが増えるのは12月の年末調整で精算されるタイミングになる。毎月の源泉徴収額が多少変わる可能性はあるが、減税の恩恵をまとめて実感するのは年末だと思っておいた方がいい。

2024年の定額減税(1人4万円)の時は、6月分の給与から順次適用されたため毎月の変化が見えやすかった。今回はそれとは仕組みが違う。月々の給与明細を見て「全然変わっていない」と思っても、年末調整で還付が増える形で反映される可能性が高い。

源泉徴収税額表は毎年改定されるため、会社の経理が新しい税額表に対応すれば月々の源泉徴収額が下がる可能性はある。ただし、すべての企業がすぐに対応するわけではないので、確実に減税を実感できるのは12月の年末調整だと考えておくのが無難だ。

過去の税制改正との比較——今回の規模感

基礎控除の引き上げ幅を過去と比較すると、今回の改正の位置づけが見えてくる。

時期変更内容影響
1995年基礎控除を35万→38万円に引き上げ+3万円
2020年基礎控除を38万→48万円に引き上げ(給与所得控除を10万円引き下げとセット)実質±0(フリーランスは+10万円)
2025-2026年基礎控除を48万→最大104万円に引き上げ(2年間限定の特例)+56万円(年収665万円以下)

2020年の改正は給与所得控除との振り替えだったため、会社員にとっては実質的な減税にならなかった。今回は基礎控除の純粋な引き上げであり、56万円の控除増加は過去30年で最大の規模だ。

ただし「2年間限定」という条件がつく。恒久的な制度変更ではなく、物価上昇と実質賃金低下への一時的な対応という位置づけだ。2027年以降に本則の62万円に戻ることを前提に、この2年間の減税分をどう活用するかが問われる。

社会保険料の変動も合わせて見る

所得税の減税だけに注目すると手取りの全体像を見誤る。2026年4月には子ども・子育て支援金(支援金率0.23%)の徴収が新たに始まった。年収500万円の会社員で月額480円、年額約5,750円の負担増になる。

協会けんぽの健康保険料率は10.00%から9.90%に引き下げられたが、支援金の新設と差し引きすると月275円程度の社会保険料の純増だ。年額にして約3,300円。さらに40歳以上の人は介護保険料率の引き上げ(1.59%→1.62%)も重なる。

所得税の減税額と社会保険料の増額を合わせて考えると、年収500万円の場合は概算で「減税5.6万円 − 社保増0.6万円 = 手取り純増約5万円」となる。減税の恩恵がすべて手取りに反映されるわけではない点は押さえておきたい。

2026年中に確認しておくこと

大きな手続きは不要だが、以下の点は早めにチェックしておくといい。

扶養控除等申告書の内容確認。配偶者の年収見込みが変わる場合は、年初に提出した申告書の修正が必要になることがある。年末に慌てるより、夏頃に一度見直す方が精神的にも楽だ。

会社の食事手当制度の確認。非課税枠の拡大に会社が対応するかどうかは企業次第。総務や人事に確認してみる程度のことだが、年間48,000円の差は小さくない。

ふるさと納税の限度額の見直し。基礎控除の引き上げで課税所得が下がると、ふるさと納税の控除限度額も変わる。2025年までの感覚でふるさと納税をすると、限度額を超えて自己負担が増えるリスクがある。年末にまとめてやるより、秋頃に一度シミュレーションしておく方がいい。

iDeCo・企業型DCの活用検討。基礎控除の特例措置は2年間限定だが、iDeCoの所得控除は恒久的な節税手段だ。今回の税制改正をきっかけに「税金をもう少し減らしたい」と思ったなら、iDeCoの加入を検討するのは合理的な判断だろう。会社員のiDeCo掛金上限は2027年1月から月62,000円に引き上げられる予定で、節税の幅が広がる。

共働き世帯と片働き世帯で恩恵は違うか

今回の税制改正は「個人単位」の控除変更なので、共働き世帯の場合は夫婦それぞれが減税の恩恵を受ける。夫が年収600万円、妻が年収400万円なら、夫は約36,000円、妻は約35,000円で合計約71,000円の減税になる計算だ。

片働き世帯で配偶者がパートの場合は、主たる稼ぎ手の減税に加えて、年収の壁178万円への引き上げが影響する。ただし先述の通り、社会保険の壁130万円(従業員51人以上の企業なら106万円)は据え置きなので、パート収入を増やすかどうかの判断は慎重にした方がいい。

子育て世帯に関しては、今回の改正で扶養控除の額自体は変わっていない。16歳以上の扶養親族1人につき38万円の控除は従来通りだ。基礎控除の引き上げと合わせて「全体の課税所得が下がる」効果はあるが、子どもの人数で追加の恩恵があるわけではない。

なお、住宅ローン控除を受けている人は、基礎控除の引き上げと住宅ローン控除が「控除の枠」を食い合うことはない。基礎控除は所得控除(課税所得を下げる)、住宅ローン控除は税額控除(所得税額から直接差し引く)なので、両方フルに適用される。これは意外と知られていないが、住宅ローン控除と基礎控除の引き上げを両取りできるのは会社員にとって大きい。

2027年以降の見通し——特例が終わった後

2026年の減税を享受した後、2027年分からは基礎控除の特例が終了する見込みだ。本則の62万円に戻ると、2026年に比べて基礎控除が42万円(104万→62万円)縮小する。合計所得489万円以下の層にとっては、減税の恩恵がかなり減ることになる。

加えて2027年1月からは防衛特別所得税が始まる。復興特別所得税との差し替えで単年度の実質負担は変わらないものの、「減税がなくなって増税が始まる」という心理的インパクトは小さくない。

2027年の手取りを2026年と比較すると、基礎控除の特例が終了する分だけ所得税が増える。年収500万円の会社員で概算すると、約56,000円の減税がなくなって元の水準に戻る。「2026年は減税で手取りが増えたのに、2027年は元に戻った」と感じるだろう。

この「特例の終了」を念頭に置いておくことで、2026年の減税分を「一時的なボーナス」として計画的に使う——たとえばiDeCoやNISAの原資に回す——という判断ができる。恒久的な減税と一時的な特例を混同しないことが、生活設計では重要だ。

よくある疑問

Q. 年末調整で何か特別な手続きは必要か

基礎控除の引き上げ自体は自動的に反映される。会社の経理が源泉徴収税額表を更新していれば、年末調整で正しく計算される。従業員側で追加の手続きは基本的にない。ただし配偶者の年収見込みが変わった場合は、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の修正が必要になる場合がある。

Q. 副業収入がある場合はどうなるか

給与所得と副業収入(事業所得・雑所得)がある場合、基礎控除の引き上げは合算した所得に対して適用される。合計所得金額が489万円以下なら特例で104万円の基礎控除が使える。ただし合計所得が増えると特例の区分が変わるので、副業収入が多い人は合計所得をしっかり把握しておく必要がある。確定申告が必要な場合は、年末調整とは別に自分で申告する際に正しい基礎控除額を適用する。

Q. 住民税への影響はまったくないのか

住民税の基礎控除(43万円)は据え置きだが、給与所得控除の最低保障額は所得税と同様に引き上げられている。年収162.5万円以下(旧来の最低保障額55万円が適用される層)の人は住民税でも多少の減税がある。ただし年収300万円以上の会社員は計算式ベースの給与所得控除が適用されるため、住民税への影響はごく限定的だ。また、自治体によっては住民税の非課税限度額を独自に設定しているケースもあるので、正確には居住地の自治体サイトで確認するのが確実だ。

Q. 確定申告をすればさらに減税できるのか

年末調整で処理できない控除——たとえば医療費控除、ふるさと納税(ワンストップ特例を使わない場合)、住宅ローン控除の初年度——がある場合は、確定申告で追加の控除を受けられる。基礎控除の引き上げで課税所得が下がった上にこれらの控除が加われば、さらに税負担は減る。確定申告は義務ではないが、「還付される金額がある」場合はやらないと損だ。国税庁の確定申告書等作成コーナーで試算して、還付が出るか確認してみるといい。

フリーランス・個人事業主への影響

会社員の話が中心になったが、フリーランスや個人事業主にとっても基礎控除の引き上げは大きい。会社員と違い、給与所得控除ではなく経費を実額で計算するため、基礎控除の増減がダイレクトに課税所得に効く。

事業所得400万円のフリーランスなら、基礎控除56万円の増加で所得税率10%の区間が削られ、約56,000円の減税になる。加えて、青色申告特別控除65万円やiDeCo(月68,000円上限)の所得控除を組み合わせれば、課税所得をさらに圧縮できる。

注意すべきは、フリーランスの場合は年末調整がないため、確定申告で自分から基礎控除の適用を申告する必要がある点だ。e-Taxの申告書作成コーナーで2026年分の確定申告を作成する際に、基礎控除の金額が自動で新しい額に設定されているか確認しておきたい。

もう一点、合計所得金額が489万円を超えると特例加算が段階的に縮小される。複数の収入源がある場合は、事業所得・不動産所得・雑所得などを合算した金額で判定されるため、「事業所得は400万円だが不動産収入が100万円ある」といったケースでは合計所得が489万円を超え、特例の恩恵が小さくなる可能性がある。

2026年の減税分をどう使うか

年収500万円の会社員なら約5万円、共働き世帯なら合計7万円前後の減税だ。この金額をどう使うかは個人の事情次第だが、2年間限定の特例である点を踏まえると、以下のような活用が考えられる。

  • iDeCoやNISAの原資に回す。恒久的な節税制度に一時的な減税分を投入すれば、特例が終わった後も資産形成の効果が続く
  • ふるさと納税の自己負担分に充てる。限度額が変わる点に注意しつつ、返礼品で実質的なリターンを得る
  • 生活防衛資金の積み増し。2027年に特例が終了して手取りが元に戻る前に、余裕資金を確保しておく

「減税されたから使っていい」ではなく、「2年後に元に戻ることを前提に備える」という発想が、2026年の家計運営では重要になる。

給与計算ソフトの対応状況にも注意

中小企業では給与計算ソフトの税率テーブル更新が遅れるケースがある。2024年の定額減税の際も、対応が年度途中までずれ込んだ企業があった。

自分の給与明細で以下の点を確認しておくと、計算ミスに早く気づける。

  • 6月以降の源泉徴収税額が前年同月より減っているか(基礎控除引き上げの反映)
  • 4月以降に「子ども・子育て支援金」が新たに控除されているか
  • 健康保険料率が2026年度の新料率(協会けんぽなら9.90%)に切り替わっているか

もし12月の年末調整まで反映されていなければ、還付額が例年より大きくなるはずだ。逆に、年末調整で想定より還付が少ない場合は、給与計算の設定が正しいか経理に確認する価値がある。特に今年は基礎控除の特例加算、食事手当の非課税枠拡大、支援金の新設と複数の変更が重なっているため、設定漏れが起きやすい年だ。

税制改正の全体像を掴んだら

自分の年収帯での減税額をざっくり掴んだ上で、年末調整の結果を待つ——これが2026年に会社員がやるべきことの最低ラインだろう。もう少し踏み込むなら、食事手当やふるさと納税の限度額確認など、年間で数万円の差がつく部分を早めに押さえておくことだ。

今回の税制改正は、年収500万円前後の中所得層に最も手厚い設計になっている。年収800万円以上の層は恩恵が限定的だし、年収300万円以下の層は元の税額が少ないので減税額も小さい。自分の年収がどこに位置しているかで対応の優先度は変わるが、少なくとも年末調整の結果は例年より注意して確認する価値がある。何もしなくても減税は自動的に適用されるが、「いくら減ったか」を把握しておくことで、翌年以降の家計の見通しが立てやすくなる。