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教育訓練給付金80%を取り切る2026年最新ガイド

May 2, 2026
3 min read

GW明けに「今年こそスクールに通う」と決めた人がまずぶつかる壁は、講座代金の重さだ。プログラミングスクールで70万円、社労士の通信講座で20万円、看護師養成校に至っては年100万円超。家計のキャッシュフローで考えると、簡単には踏み出せない金額帯だ。ところが、雇用保険に1年以上入っているなら、その大半をハローワーク経由で取り戻せる仕組みがある。教育訓練給付金だ。

しかも2024年10月から、最上位の専門実践教育訓練が70%から80%へ引き上げられた。年上限64万円。仮に80万円のスクールに通えば、最大で64万円戻ってくる計算になる。さらに2025年10月には在職中でも基本手当相当を受け取れる教育訓練休暇給付金が新設され、制度の組み合わせ方が一気に複雑になった。

ここでは「3つの教育訓練給付」と「2つの上乗せ給付」を、講座カテゴリ別に取り切るための判断軸を整理する。読み終えたとき、自分のケースで「いつ・どの講座に・どの順序で申し込めば実質負担が最小になるか」が手元の数字で見えていれば狙い通りだ。

まずは3本立ての全体像から

教育訓練給付金は1つの制度ではなく、給付率の異なる3階建てになっている。区分の違いは「狙う資格・職業の社会的位置づけ」と連動しており、業務独占資格や成長分野ほど上位区分(高給付率)にカテゴライズされる傾向がある。

区分給付率上限額主な対象
専門実践教育訓練最大80%年64万円・3年で192万円看護師、保育士、MBA、データサイエンス、サイバーセキュリティ等
特定一般教育訓練50%25万円社労士、税理士、行政書士、宅建士、大型二種免許等
一般教育訓練20%10万円TOEIC、簿記2級、FP2級、MOS、Webデザイン等

専門実践だけ構造が特殊で、訓練中は受講料の50%が半年ごとに支払われ、修了して資格を取得し、1年以内に被保険者として就職すると20%が追加される。さらに賃金上昇要件をクリアすると10%上乗せ。80%はこの追加分まで全部取り切ったときの上限値だと覚えておきたい。

特定一般は1回の支給で50%、一般は20%。シンプルだが上限がぐっと低くなる。20万円のFP講座は一般で4万円戻り、25万円の社労士講座は特定一般で12.5万円戻る、というイメージだ。1講座ぶんで完結するため、追加の就職要件などはない。受講して修了してしまえば、それで給付が確定する。

ここで意識したいのは、目指す資格・講座が3区分のどれに分類されているかは受講者側では変えられない、ということ。同じ「データサイエンス系」でも講座Aは専門実践、講座Bは特定一般、講座Cはどれにも該当せず自費、というケースが普通にある。教育訓練給付制度検索システム(厚生労働省サイト)で講座番号レベルまで確認するところからすべてが始まる。

専門実践はどんな講座が対象になっているか

最大80%給付の専門実践は、社会的需要が大きく、なおかつ訓練に長期間と高額費用がかかる分野に絞られている。具体的には次の4カテゴリだ。

  • 業務独占資格(看護師、准看護師、社会福祉士、精神保健福祉士、保育士、介護福祉士、調理師、理容師、美容師、はり師、きゅう師、保健師、助産師など)
  • 専門学校の職業実践専門課程(2年以上、文部科学大臣認定)
  • 専門職大学院(MBA、MOT、法科大学院、教職大学院、会計大学院、ビジネスデザイン研究科など)
  • 第四次産業革命スキル習得講座(AI、IoT、データサイエンス、クラウド、サイバーセキュリティ、5G、ロボティクス領域)

第四次産業革命スキル習得講座は経済産業大臣の認定を受けた講座が指定される仕組みで、2026年時点では300以上の講座が並ぶ。プログラミングスクールでは「DMM WEBCAMP」「侍エンジニア」「TechAcademy」「テックキャンプ」などの一部コースが該当している(年度・コースで指定状況が変わるので必ず公式の最新情報で確認したい)。

特定一般は、士業系の業務独占資格と一定の運転系資格が中心。社労士、税理士、行政書士、中小企業診断士、宅建士、簿記1級、応用情報技術者、ITストラテジスト、第一種電気工事士、大型自動車二種免許、運行管理者(貨物・旅客)、介護支援専門員、ファイナンシャル・プランニング技能士1級などがここに入る。「合格率15%以下」「業務独占性が強い」という大まかな目安で覚えておくと、検索時にイメージしやすい。

一般は汎用性の高いビジネススキル系で、TOEIC、英会話、簿記2級・3級、FP2級・3級、MOS、Webデザイン、ITパスポート、基本情報技術者、英検準1級、TOEFL、行政書士以外の比較的軽量な資格などが対象。「キャリアアップに役立つが業務独占ではない」分野だ。

受給資格、最低でもここは確認したい

3制度のどれを使うにせよ、共通の受給資格がある。誤解されやすいのが「雇用保険に何年入っていればもらえるか」の数字だ。

区分初回利用2回目以降
専門実践教育訓練雇用保険被保険者期間2年以上3年以上(前回給付から3年経過)
特定一般教育訓練1年以上3年以上(前回給付から3年経過)
一般教育訓練1年以上3年以上(前回給付から3年経過)

離職してすでに転職活動中の人は、離職日から1年以内に受講開始しないと受給資格を失う点も要注意。育児・介護で退職した場合は最大4年まで延長できる特例があるが、申請しなければ延長は適用されない。「とりあえず辞めて落ち着いてから」と1年以上空けると、給付金がまるごと失効する。

公務員や自営業者は雇用保険の被保険者でないため、教育訓練給付金そのものの対象外だ。退職して会社員になり、雇用保険加入期間を満たしたうえで申請する流れになる。

2024年10月の拡充は何が変わったか

ここで多くの人が誤解しているのが、80%の出方だ。改正前は70%が天井で、内訳は「受講中50%+資格取得時20%」だった。改正後は次のように一段増えている。

  • 受講中の支給:50%
  • 修了+資格取得+1年以内に被保険者として就職:+20%(ここまでで70%)
  • 訓練前後の賃金が5%以上上昇:さらに+10%(これで合計80%)

つまり、辞めずに通い切り、資格を取り、1年以内に転職や復職を決め、賃金まで上げて、ようやく80%に到達する。申し込めば自動で80%、ではない。ここを理解せずにキャリアプランを立てると、想定より16万円ほど取りこぼす。

逆に言えば、退職してリスキリング→年収を上げて転職するルートを最初から描けるなら、80%給付は十分に現実的な数字だ。リスキリング後の転職を最初から織り込むかどうかで、実質負担は2倍違ってくる。賃金上昇10%分は、転職時の年収交渉が直接ヒモ付くので、転職エージェントとの初回面談で「給付の追加要件として5%以上UPが必要」と最初に伝えておくと話が早い。

2025年10月新設「教育訓練休暇給付金」の使いどころ

2025年10月に新設された教育訓練休暇給付金は、離職せず、会社の無給訓練休暇を取って通う在職者向けの新制度だ。被保険者期間5年以上、無給休暇期間中に基本手当相当(月額の目安28万円程度)を最長150日受給できる。仕事を辞めずに長期講座へ通いたい人にとっては、生活費の不安をかなり下げてくれる。

似た名前で混同しやすいのが、離職者向けの教育訓練支援給付金(こちらは前からある制度)。45歳未満の離職者が専門実践を受講する間、基本手当の80%相当が支給される。最大2年。失業手当の所定給付日数が尽きたあとも訓練中は支援給付が続くため、長期講座を受けながら生活費を確保したい人には外せない。

2つの「上乗せ給付」は名前は似ているが、対象者と支給期間が大きく違う。

項目教育訓練休暇給付金教育訓練支援給付金
対象者在職者(無給訓練休暇取得)離職者(45歳未満)
給付額基本手当相当(月額目安28万円程度)基本手当の80%相当
給付日数最長150日最長2年(訓練期間中)
必要な被保険者期間5年以上通常の専門実践と同じ
利用できる訓練教育訓練給付対象講座専門実践教育訓練のみ
制度開始2025年10月新設既存(継続)

整理すると、判断軸はこうなる。

  • 在職のまま通う → 教育訓練休暇給付金+専門実践または特定一般
  • 退職して長期講座(45歳未満) → 教育訓練支援給付金+専門実践
  • 退職して短期講座 → 失業手当+特定一般または一般
  • 在職で短期講座 → 一般または特定一般のみ(休暇給付の対象外)

「いまの会社を辞めるべきか」の答えがそのまま、どの上乗せ給付を狙うかの答えになる構造だ。45歳以上で長期講座に通いたい場合、教育訓練支援給付金は使えないため、休暇制度のある会社にとどまる選択肢が現実的になる。

講座カテゴリ別の実質負担額

数字で見ないとピンと来ないので、よく検索されるカテゴリで試算してみる(2026年4月時点・上限額ベース)。実際の給付額は受講料・コース・改正タイミングで変わるため、講座申込前に教育訓練給付制度検索システムで再確認してほしい。

  • プログラミングスクール(専門実践指定講座/受講料80万円) → 給付64万円、実質16万円。年収が80万円上がれば追加10%分も取れて手出しは8万円まで下がる
  • 社労士通信講座(特定一般/受講料25万円) → 給付12.5万円、実質12.5万円。独立して1案件30万円の顧問契約を取れば即回収
  • 看護師養成校3年(専門実践/総額300万円) → 3年上限の192万円給付、実質108万円。新人看護師の初年度給与でほぼ回収できる水準
  • MBAスクール(専門実践/受講料200万円) → 上限192万円まで給付、実質8万円〜。ただし出席率と単位取得が条件
  • AI・データサイエンス系講座(専門実践/受講料60万円) → 給付48万円、実質12万円。第四次産業革命スキル習得講座カテゴリで、年収アップ幅が大きく80%到達しやすい
  • TOEIC講座+教材(一般/受講料15万円) → 給付3万円、実質12万円。上限10万円に届かないため給付額は受講料の20%まで
  • 宅建士通信講座(特定一般/受講料8万円) → 給付4万円、実質4万円。上限25万円に余裕があるため、別の特定一般講座と3年あけて組み合わせるのも手

注意したいのは、専門実践でも給付対象になるのは厚労大臣指定講座だけ、ということだ。同じスクールでもコースによって対象と対象外が分かれる。教育訓練給付制度検索システムで受講番号レベルまで確認してから申し込まないと、後から1円も戻らない事故が起きる。「給付対象」と書かれた広告だけを信じて先に契約してしまうと、コース番号がズレていて非対象だった、という事例が毎年発生している。

年収別・在職離職別のシミュレーション

実額がどのくらい違うか、よくあるパターンで並べてみる。前提は「2026年時点・専門実践の80%給付対象講座(受講料80万円・受講期間1年)」を選んだケース。

ケース在/離職年齢並行給付1年間の手取り影響
A 年収500万会社員在職30歳教育訓練休暇給付金給付64万円+休暇給付月28万円×5ヶ月=204万円相当
B 年収400万会社員在職35歳なし(夜間通学)給付64万円のみ
C 退職→転職予定離職30歳教育訓練支援給付金+失業手当給付64万円+支援月18万円×12ヶ月=280万円相当
D 退職→転職予定離職50歳失業手当のみ(支援給付対象外)給付64万円+基本手当(所定日数分)
E 育休復帰前育休中32歳育児休業給付+教育訓練給付給付64万円+育休給付(別計算)

ケースAとケースCを比べると、同じ80%給付の専門実践でも、組み合わせる上乗せ給付次第で年間100万円以上の差が出る。45歳未満で退職リスクを取れる人にとって、教育訓練支援給付金の威力は突出して大きい。逆にケースDのように45歳以上で離職する場合、支援給付金が使えないため「在職のまま教育訓練休暇制度を会社に交渉する」のが手取り最大化のルートになる。

ケースB(夜間通学)は、最も「上乗せなし」のシンプルな型。仕事を続けながら平日夜・週末に通うパターンで、給付は受講料の80%だけだが生活費の心配がない。年収・年齢・家族構成によって最適解が分岐するので、自分のケースに数字を入れ替えて試算してほしい。

失業手当との同時受給はどう扱われるか

ここも検索で多い疑問だ。離職してハローワークに失業認定を受けながら、特定一般や一般の講座に通うパターン。原則として、失業手当(基本手当)と教育訓練給付金は性質が違うため同時に受給できる。教育訓練給付は「受講料の補助」、失業手当は「就職活動中の生活費」という役割分担だ。

ただし、専門実践+教育訓練支援給付金の場合は注意がいる。教育訓練支援給付金が支給される期間は基本手当の支給は止まる仕組みになっている(支援給付がその代わりを果たす)。基本手当の所定給付日数を消化しきっていない人は、訓練終了後に残日数ぶんの失業手当を再開できる。

判断のコツは、失業手当の所定給付日数が長く残っている人は短期講座と組み合わせ、残日数が少なく長期講座を受ける人は教育訓練支援給付金へ切り替えること。残30日・受講期間6ヶ月のような噛み合わせなら、支援給付金へ振った方が手取り総額は増える。

キャリコンで何を聞かれるか

専門実践と特定一般は、受講前にハローワーク指定のキャリアコンサルタントとの面談(キャリアコンサルティング)が必須だ。ここを軽く見て先にスクールに申し込むと、給付対象外になる。

実際の面談で聞かれるのは、おおむね次のようなことだ。

  • なぜこの資格・講座を選んだか
  • 受講後にどう仕事に活かすか(目標年収・職種)
  • 過去の職歴と現在のスキル
  • 受講と並行して仕事・生活はどう設計するか
  • 修了後の就職活動の見通し

事前に「ジョブ・カード」を作成して持参するのが原則。ジョブ・カードはハローワークの様式で、職務経歴・取得資格・キャリアプランを書き込む書類で、A4数枚程度の自己分析シートのイメージに近い。書き慣れていない人ほど時間がかかるので、キャリコン予約から面談日まで2週間ほど空けてジョブ・カードを準備するのが現実的だ。

落ちる面談ではない。形式的な確認が中心で、訓練の意義と本人の納得が確認できれば通る。ただし「とりあえず給付金がほしい」「資格取得後のプランは決めていない」と答えると、追加面談を求められるケースもある。

業種別の選び方:6つのパターン

「自分の業種だとどの講座を選ぶべきか」がよくある悩みなので、典型パターンを並べておく。すべて2026年4月時点での給付対象状況の整理だが、講座番号レベルでは必ず公式の検索システムで再確認したい。

現職/目標おすすめ区分主な選択肢
ITエンジニア → AI・データサイエンスへ専門実践第四次産業革命スキル習得講座(キカガク、Aidemy、データミックス等)
文系会社員 → ITエンジニア未経験転職専門実践プログラミングスクール(DMM WEBCAMP、テックキャンプ、TechAcademy等)
会社員 → 独立系の士業へ特定一般社労士、税理士、行政書士、中小企業診断士の通信講座
子育て中 → 国家資格で再就職専門実践看護師、保育士、社会福祉士の養成校・通信制
不動産・建設業 → スキルアップ特定一般宅建士、第一種電気工事士、運行管理者
事務職 → 汎用スキル底上げ一般簿記2級、FP2級、TOEIC、MOS、Webデザイン

ここで悩ましいのが「特定一般と一般のどちらを選ぶか」のグレーゾーン。たとえば簿記。簿記2級は一般(20%給付)、簿記1級は特定一般(50%給付)。受講料は1級の方が高いが、給付率の差を考えるとトータルの自己負担は意外と1級の方が軽くなるケースもある。「上の区分に入る難易度の資格を狙うと、結果的に自己負担が下がる」という逆転現象が、教育訓練給付の隠れた特徴だ。

ジョブ・カードはどこまで書けば通るか

専門実践と特定一般の事前キャリコンで提出する「ジョブ・カード」。様式は厚生労働省サイトからダウンロードできる(マイジョブ・カード)が、初見だと「どこまで書けばよいか」で手が止まる。

実務的には、次の3点が埋まっていれば十分通る内容になる。

  • 職務経歴書(現職・前職を時系列で。担当業務・役職・成果を箇条書きでOK)
  • 価値観・興味・能力の自己分析(各5〜10行ずつでよい)
  • キャリアプランシート(短期=1年以内、中期=3〜5年、長期=10年の3レベルで方向性を書く)

A4で4〜6ページ程度になることが多い。完成までの目安時間は、書き慣れた人で2時間、初めての人で半日〜1日。「書けない」と感じる場合は、ハローワークで開催されている無料セミナー(ジョブ・カード作成支援)に出ると、テンプレートを埋めるだけで形になる。

ここで意識したいのは、ジョブ・カードはキャリコンの面談資料であって、評価書類ではないということ。書きぶりが拙くても、本人が「何を学び、どう活かしたいか」を説明できれば通る。逆に、テンプレ的な「自己実現のため」「スキルアップしたい」だけで埋めて中身が空だと、追加面談を求められる場合がある。

つまずきやすいNGパターン

申請手続きで実際にトラブルが起きやすい順に並べておく。

  • 受講開始後にキャリアコンサルティングを受けた(専門実践・特定一般は受講開始日の1ヶ月前までに事前キャリコンが必須)
  • 出席率80%未満で給付額が0になった(欠席は数えられているので油断禁物)
  • 修了試験不合格で給付額が大幅減(専門実践は資格取得が追加給付の前提)
  • 修了日から1ヶ月を超えて支給申請した(時効で消滅する)
  • 過去3年以内に給付を受けていた(原則3年経過していないと再受給不可)
  • 離職後1年以上経ってから申請した(失効する)
  • 配偶者の扶養範囲を超える支給で住民税課税が発生(主婦・主夫は要試算)

特に多いのが、最初のキャリコン漏れ。事前手続きを軽く見て先にスクール申込みを済ませると、その時点で専門実践・特定一般は門前払いになる。「先に決めてから手続きしよう」が一番危ない。

もう1つ、見落としがちなのが支給申請のタイミング。修了日から1ヶ月以内が原則で、これを過ぎると給付請求権が時効で消える。スクール側がリマインドしてくれるとは限らないので、修了予定日をカレンダーに先に入れておきたい。

通信講座と通学講座、どちらが給付に有利か

同じ資格を狙うとき「通信」と「通学」のどちらが給付対象になっているかも、講座選びでよく迷うところ。基本的には、両方とも教育訓練給付の対象になりうる。ただし出席率の判定方法が違う。

  • 通学講座:授業日への出席率が80%以上
  • 通信講座:課題提出・添削・スクーリング(対面授業)の合計出席率が80%以上
  • e-ラーニング講座:学習進捗ログとテスト合格率で判定

通信・e-ラーニングは「自分のペースで進めたい」という人に向くが、課題提出を後回しにすると最後にまとめて落とすリスクがある。通学は強制力がある分、仕事との両立が苦しい。働き方とライフスタイルで選ぶ判断軸だ。

加えて、「給付対象の通学コース」と「対象外のオンラインコース」が同じスクールで併設されているケースも多い。受講申込み画面で対象コース・対象外コースを取り違えないよう、必ず受講番号(指定講座番号)を見比べてから決済ボタンを押したい。「料金は安い方を選んだら対象外だった」という事故が、毎年発生している。

給付の振込はいつ・どこに

支給申請を出してから実際の振込までは、通常2〜3週間程度。指定した本人名義の銀行口座(ゆうちょ銀行も可)に振り込まれる。専門実践は受講中の支給申請を半年ごとに行う仕組みのため、半年×複数回に分けて振り込まれていく。

家族名義の口座、ネット銀行の一部(振込対応していない銀行)、屋号付きの事業用口座は使えないことがある。申請時の口座情報の入力ミスで振込が遅延するケースも少なくないため、通帳のキャッシュカードを見ながら正確な店番・口座番号を記入したい。

ちなみに、振り込まれた給付金は雇用保険法第12条で所得税・住民税ともに非課税と定められている。確定申告でも収入として計上する必要はない。会社員の年末調整で何かを書く必要もない。「給付金をもらったら税金がかかるのでは」と心配する人が多いが、これは杞憂だ。

ただし、退職して国民健康保険に加入している人は、給付金そのものではなく、減った収入の扱いで保険料計算に影響が出る場合がある。前年所得ベースで保険料が決まる仕組みのため、リスキリング期間中の保険料は前年(働いていた年)の所得で算定される。「働いていないのに保険料が高い」と感じる時期があるのはこのためだ。

配偶者控除と給付金の関係

主婦・主夫がリスキリング目的で受講するケースで意外と聞かれるのが、「給付金をもらうと配偶者控除から外れるのか」という疑問。

結論から言うと、教育訓練給付金は所得税法上の非課税収入(雇用保険法第12条)なので、配偶者の合計所得金額(48万円以下、給与収入だけなら103万円以下)には算入されない。給付金がいくら振り込まれても、配偶者控除や配偶者特別控除には影響しない。

注意が必要なのは、「リスキリング後に転職して年収が上がった結果、控除から外れる」ケース。これは給付金の問題ではなく、本人の収入が増えた結果なので、別の話と整理しておきたい。年収103万円・150万円・201万円の壁(2026年改正で見直し議論中)は、扶養に入っている人にとってはむしろリスキリング後の年収設計で意識する数字だ。

年収目安配偶者控除配偶者特別控除
103万円以下38万円(満額)
103〜150万円38万円(満額)
150〜201万円段階的に減少
201万円超0円

リスキリング前は103万円以内に抑えていた人が、講座修了後に年収300万円のフルタイム職に就く場合、世帯としての税負担増を加味した「実質手取り増」を試算しておきたい。給付金そのものは非課税なので心配無用、というのが押さえどころだ。

よくある勘違いを8つ

短いQ&A形式で、検索でよく見る誤解を整理しておく。

  • Q「給付対象講座なら誰でも受けられる?」→ 雇用保険被保険者期間の要件(初回1〜2年、2回目以降3年)を満たしていることが必要
  • Q「正社員でなくてもOK?」→ 雇用保険に加入していれば、契約社員、派遣社員、パート(週20時間以上)も対象
  • Q「自費で受けてしまった講座も後から申請できる?」→ できない。受講開始前に資格確認・キャリコン(専門実践と特定一般)を済ませている必要あり
  • Q「複数講座を同時受講できる?」→ 制度上は可能だが、給付の上限額は年・3年ベースでカウントされるため、超過分は自費
  • Q「住民票と違う地域のハローワークでも申請できる?」→ 原則として住所地を管轄するハローワークで手続き。引っ越し中の人は注意
  • Q「会社にバレずに使える?」→ 在職者でも受講・申請は本人ベース。教育訓練休暇給付金を使う場合のみ会社の制度利用が前提
  • Q「家族(子・親)の講座費用にも使える?」→ 使えない。あくまで本人の受講のみ
  • Q「途中でやめたらどうなる?」→ 出席率80%未満や中途解約は給付なし。受講料の返金はスクール規定次第

申請の8ステップを通しで

ハローワークで実際に踏む手順を順序通りに並べておく。

  1. 教育訓練給付制度検索システムで対象講座を確認
  2. ハローワークでジョブ・カードを作成(専門実践・特定一般のみ)
  3. キャリアコンサルティングを予約・受講(受講開始1ヶ月前まで)
  4. 受給資格確認票を提出
  5. 講座を受講(出席率80%以上を死守)
  6. 修了証明書・資格合格証を受領
  7. 修了から1ヶ月以内に支給申請
  8. 専門実践は就職後、追加給付の申請

このうち1〜3は順序を入れ替えられない。スクールの入校日が決まったら、その1ヶ月以上前にハローワークで予約を取るところから逆算するのが鉄則だ。最近は事前キャリコンの予約が混んでいる地域もあり、繁忙期(4月、10月)は2〜3週間待ちもある。

正確な対象講座一覧と最新の給付率、上限額は厚生労働省・ハローワークの公式情報で必ず突き合わせてほしい。制度は年単位で細部が動いており、本記事の数値も2026年4月時点での整理になる。とくに2025年10月新設の教育訓練休暇給付金は施行2年目で運用が変わる可能性がある。

失敗事例から学ぶ「やってはいけない順序」

SNSやハローワークの相談窓口でよく聞く失敗パターンを3つ挙げる。順序を間違えるだけで給付が0になる、という典型例だ。

  • 事例1:30代会社員、プログラミングスクール80万円。「とりあえず申し込んでから手続きすればいい」と4月に契約・受講開始。後からハローワークで「事前キャリコン未受講なので対象外」と告げられて全額自費に
  • 事例2:離職中の40代、社労士講座25万円。離職後14ヶ月経ってから申請しようとして「離職1年超で受給資格失効」と判定され0円
  • 事例3:在職中の20代、宅建講座8万円。出席率が78%(3回欠席)で給付額0円。「あと1回出ていれば」が後から効いてくる

共通するのは「制度の細部を後回しにした」こと。給付対象の確認・キャリコン・出席管理の3点は、最初に押さえておけば防げる失敗ばかりだ。

2026年に押さえておきたい改正動向

これから動く可能性のある制度改正にも触れておきたい。

  • 2025年10月:教育訓練休暇給付金の新設(在職者向け、最長150日)
  • 2024年10月:専門実践教育訓練の給付率上限が70%→80%に拡充
  • 2024年3月:第四次産業革命スキル習得講座の対象範囲拡大(生成AI関連の追加)
  • 2023年:特定一般教育訓練の対象拡大(IT分野・運転系の追加)

国は「人への投資」枠で5年間1兆円規模の予算を組んでおり、2026年から2028年にかけて教育訓練給付関連の制度はさらに拡充される方向にある。給付率の上限引き上げ、対象講座の追加、リスキリング助成と地方自治体独自の給付の併用など、追い風が続くと見ておいてよい。とくに地方自治体独自の上乗せ補助(自治体によって5万〜30万円)も併用できる場合があり、お住まいの市区町村のホームページで「リスキリング 補助金」「資格取得 助成金」のキーワードで検索すると見つかる。

逆に注意したいのは、賃金上昇要件など追加給付の条件は将来的に厳格化される可能性がある点。「いつかやろう」と先送りすると、いまの80%が将来75%や70%に戻る、というシナリオも完全には否定できない。動くなら、制度が緩いうちが有利という判断が成立する局面だ。給付の上限額は予算編成のたびに見直されており、3年・5年単位で変動する前提で計画を立てておきたい。

GW明けからの動きで間に合わせたいなら、まず教育訓練給付制度検索システムで自分が狙う資格やスクールが対象かを確かめるところから始めたい。対象であれば、最寄りのハローワークにキャリコンの空き枠を電話で押さえる。ここまで動けば、夏の開講ラッシュには十分間に合う。なお、退職して受講するパターンを検討中なら失業手当の1ヶ月化と早期受給、独立や転職で副収入が出る場合は副業の住民税もあわせて見ておくと、出口戦略まで含めた数字感がつかめる。